2024年2月9日金曜日

グリッシーニはパーネ・マントバーネから続く北イタリアのパンの最終形態でした。

話はちょっと戻って、今日はマントバのパンの話pane mantovana。
マントバのパンは、“パスタ・ドゥーラpasta dura”という分類に属する堅い生地のパンです。生地の水分は50%前後。細かい気泡の締まったクラムの軟質小麦粉のパンです。
これまでにも何度か取り上げてきましたが、マントバーナの他にも、コッピエッテ・フェッラレーゼcoppiette 、ロンディネッレrondinelle、ベネトのモンタスmontasùなどがあります。
寒くて望んだ発酵が行われない、北イタリア特有のパンです。
特徴なのは堅い生地から造られる3Dの独特な形。
ただ、食後のスープやソースに浸してソースの最後の1滴までおいしくいただくという用法には向かず、イタリアではマイナーな存在になりつつあります。

パスタ・ドゥーラのパーネ・マントバーナ。

パーネ・フェッラレーゼ。

始めてみた時に衝撃を受け、その後、このパンを買うためにフェラーラまで行きました。
そして一口食べた時、このパン、食べたことがある、と思ったのです。独特な形の割には、親しみのある味でした。
フェラーラはルネサンス期にエステ家が支配して栄えましたが、フェラーラの隣国マントバのゴンザーガ家も、エステ家には婚姻などで深く入り込んでいました。
パーネ・フェッラレーゼ。

パーネ・マントバ―ネ。

モンタスMontasù

ミッコーネ・パヴェ―ゼ。パヴィアはロンバルディアの語源にもなったゲルマン系のランゴバルド族の国の中心地。

かつてはパンは1週間に1度しか焼かなかったので、日持ちすることが重要でした。ミッコーネの水分は35~40%。湿度の高い地域でも美味しさが長持ちするパンが望まれました。
ミッコーネmicconeとは、大きなミッカmiccaということ。そして小さなミッカはミケッタmichetta。

ミケッタと言えば、全部が皮のようなミラノのパン。と言えば、次に出てくるのがグリッシーニ。ピエモンテ名物のこのパン、というか、パンでさえないこの棒の味に、パーネ・ドゥーラの生地のパンはそっくりでした。

ミケッタ(ロゼッタ)は、ミラノをオーストリアが支配していた時代に広まったパン。ミッカが占領軍のオーストリア兵に不人気だったため、ウィーンのカイザーゼンメル(カイザーロール)に似たパンをという経緯で生まれたパン。

グリッシーニはピエモンテのサボイア家の宮廷で生まれたスティックブレッド。


北イタリアのパンの歴史は貴族や王様や宮廷が総出ですね。
グリッシーニは北イタリアのパンの最終形態でした。
とは言え、パンの歴史は複雑で膨大なので、もっと検証は必要です。
を参照しました。

=====================================
(CIR)は『クチーナ・イタリアーナ』と『サーレ・エ・ペペ』という2冊のイタリアの月刊料理雑誌のリチェッタと記事を日本語に翻訳した約50ページの小冊子です。
価格は1冊\900(税・送料込)、1年12冊の定期購読だと15%引きの\9200(税・送料込)になります。紙版と、ネット上にupするPDF版があります。PDF版の価格は\800/号、定期購読は\7700/1年12冊です。料理雑誌も販売しています。

現在、2021年の号を販売中です。それ以前の号と、旧総合解説はシステムの変更のため販売を終了しました。
現在販売している(CIR/クチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)バックナンバーは、2021年1~11月号です。
定期購読は2021年からできます。
古い雑誌や本は在庫を探しますのでご相談ください。
本以外のお問い合わせもどうぞ。

ご注文の場合は、こちらのフォームからお願いします。
本や(CIR)の購入方法

お問い合わせはこちらからどうぞ。
(下記のリンクがクリックできない時は左クリックして表示されたurlをクリックしてください)
=====================================
クレアパッソのブログは下記の3種類あります。

[creapasso.comへ戻る(hpはシステムのトラブルで長期間更新していません、あしからず)最新情報はすべてブログでお知らせします]
=====================================

0 件のコメント:

パスタ・フレスカにはアルデンテの概念はない、と言い切るベネチア人。ベネチアのパスタはパスタ・フレスカ。でも、世界中の人は乾麺のパスタを求めるので、独自の道に進化させはじめた。

ベネチアの象徴、“ハリーズ・バー”では、パスタ・フレスカを出しています。 自伝的本、『ハリーズ・バー』には、パスタ・フレスカにはアルデンテという概念はない、というアッリーゴ・チプリアーニの話が綴られています。 ちなみに、アッリーゴは創業者ジュゼッペの息子です。創業者の名前はハリー...