今日のお題は、“ワインオープナー”。様々な呼び方がありますが、イタリア語ではcavatappi。
私は、昔はスーパーで売ってるような、どこにでもあるソムリエナイフを使ってました。
それが、ご縁があって、イタリアの某世界的大手ワインメーカーが日本の展示会に参加した時、数日間お手伝いしました。最終日に片づけをしていたら、担当者が、片付けるものの多さにうんざりしたのか、販促品の中で欲しいものがあったらあげるよ、と言うのです。じつはこの数日間で数えきれないワインの栓を抜いていた私は、このメーカーの販促品のソムリエナイフの使いやすさに感心していました。そこで、こう言われてすぐに「このソムリエナイフが欲しいです」と、答えていました。ところが、それを聞いた担当者は、ちょっと躊躇したのです。え、ひょっとしてこれ高級品だった?そんな考えがちらっと頭をよぎりましたが、目をキラキラさせてありがとうございまーす!と見返すと、彼は約束通り、私にそのソムリエナイフをくれました。
ワインオープナー(ソムリエナイフ)は顧客に配るためにたくさんあったので、あまり深く考えずに大喜びでもらったのでした。家に帰ってウキウキで使ってみたら、どう考えても安物ではなく、かなり機能的で美しく、使いやすい、逸品でした。それ以来、数十年経った現在でも、愛用しています。
イタリアのクラフトマンシップに触れた最初のきっかけが、このソムリエナイフだったのです。これがフェラーリの国のソムリエナイフか、とその機能美と並外れた性能のよさに、完璧にやられました。
それまでソムリエナイフは道具、以上の考えは無かったのですが、いい道具はワインの味も変える、と考えるようになりました。
ちなみに、その時のワイナリーは、現在では日本の取引先も決まり、スーパーでそのワインを見かけるたびに、ソムリエナイフをくれた営業マンさん、ありがとうとつぶやいています。そして私と同じソムリエナイフをもらったソムリエさんたち、ここのワイン、よろしくお願いしますね!
そもそも、イギリスで、ガラスのワインボトルを18世紀末にコルクで閉じるようになり、それを開けるためにステンレスの虫の形の道具が使われました。それ以来、この道具を美しく、使いやすくするための改良がどんどん加えられるようになります。
世界で最初のワインオープナー(コルクスクリュー)の特許は、1795年にイギリスのサミュエル・ヘンシェル牧師から出されました。
コルクスクリューの歴史。
そしてもっと洗練された道具にしたのはドイツ人でした。1882年にカルロ・F・A・ウィンケが“ウエイターズ・フレンド”というワインオープナーを発明します。ウエイターズ・フレンドは、イタリア語にするとamico del cameriere。
ウエイターズ・フレンド。
イタリアにはワインオープナーの博物館が2つあります。
1つはバローロにあります。
バローロのワインオープナー博物館。
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