2024年2月7日水曜日

2017年のヨーロッパ美食都市に選ばれたマントバの食文化は、ゴンザーガ家の宮廷やスイス人パティシエ、農民、ユダヤ人と、多様な人々の文化が混ざり合って生まれています。

マントバ料理の話、続けます。
今日はトルタ・グレカtorta greca(リチェッタはCIR11月号P.39)。
ギリシャケーキという名前です。マントバのユダヤ人の間でギリシャ人が考え出したドルチェと言われていますが、証拠はないようです。
でも、マントバのドルチェを調べてみると、このゴンザーガ家のルネサンスの街は、数々のドルチェを生み出していました。そういえばマントバは、2017年にヨーロッパ美食都市に選ばれていまか。イタリアでグルメな街というと、ボローニャやナポリあたりが思い浮かびますが、東ロンバルディアのマントバは、北イタリアの食文化を知る上でも興味深い都市です。しかも、マントバのゴンザーガ家は、一時期、トスカーナを支配していました。プラートのトルタ・マントバーナは、マントバ公フランチェスコ2世の妻でルネサンスの文化、政治のヒロイン、イザベラ・デステがマントバから伝えたケーキと言われています。

トルタ・グレカ。パイ生地にアーモンド風味のフィリングを詰めたドルチェ。

マントバに移り住んだスイス人パティシェが創り出したと言われるトルタ・エルベティアtorta Helvetia。

マントバのスイス人パティシエの店。

マントバを代表するドルチェ、トルタ・スプリゾローナ。

プラートのトルタ・マントヴァ―ナ。


この中で一番有名なのは、多分、トルタ・スブリゾローナ。かけらという意味の“プリーチョラbriciola”の方言が語源で、粒状でもろい生地のケーキです。
16世紀にマントバの農民がラードととうもろこしの粉で作っていました。これにアーモンドの安価版代用品であるヘーゼルナッツ、卵、または白ワイン(鶏が飼えない農民も多かった)を加えたものが後にゴンザーガ家の宮廷に伝わり、スパイスや香料、アーモンドが加えられるようになります。焼き上がったら手やナイフの柄で割ります。
現在ではラードではなくバターを使い、とうもろこしの粉の一部が小麦粉になりました。ロンバルディアのヘーゼルナッツと言えばアマレッティ。
これらのドルチェfはケーキと言うよりパン。トルタ・グレカはパスティッチェリーアよりパン屋で売っているドルチェ。
マントバのパ二フィーチョ・ランドン。

マントバのパスティッチェリーア。

マントバの人気カフェのショー・クッキングは大人気。


マントバは、調べれば調べるほど面白い美食文化が見つかって、抜け出せなくなりつつあります。
実はこの地方はパンも独特。

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(CIR)は『クチーナ・イタリアーナ』と『サーレ・エ・ペペ』という2冊のイタリアの月刊料理雑誌のリチェッタと記事を日本語に翻訳した約50ページの小冊子です。
価格は1冊\900(税・送料込)、1年12冊の定期購読だと15%引きの\9200(税・送料込)になります。紙版と、ネット上にupするPDF版があります。PDF版の価格は\800/号、定期購読は\7700/1年12冊です。料理雑誌も販売しています。

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