2020年5月10日日曜日

マックを閉店に追い込んだアルタムーラのパン屋

パーネ・ディ・マテーラの次はパーネ・ディ・アルタムーラの話。
パーネ・ディ・アルタムーラ
総合解説」2005年4月号で、このパンの記事を訳していました。

マテーラに行くためにバーリから載った電車では、マテーラとアルタムーラはすぐ隣だった記憶が。
産地も近いし、巨大で皮が厚いという特徴もそっくりのパンです。
ほぼ同じ産地の小麦と天然酵母で作るパンで、
元々は、日持ちするために羊飼いが移牧の旅に持って行くパンでした。
同じ目的のサルデーニャのパーネ・カラザウとはまったく違うパンですね。
さらに、数十年前までは、家庭で生地をこねて、週に1回、村の共同かまどで焼くために家長のイニシャルを刻印するというのもパーネ・ディ・マテーラと同じ。

パーネ・ディ・マテーラが三位一体を表す形なのに対して、パーネ・ディ・アルタムーラは司祭の帽子の形。

この記事を訳した2005年頃、アルタムーラでは、ちょっとした事件がおきていました。
2年前にマクドナルドができたのです。
ところが、イタリアはアンチ・マクドナルド勢力が強い国、ということを証明する結果となってしまいました。
マクドナルドができると近所の昔ながらのパン屋が、客を奪われて潰れるというのが相場。ところがアルタムーラでは、昔ながらのパン屋に客が奪われて、閉店したのはマクドナルドの方でした。
マクドナルドは、誕生日パーティーや、衛星テレビでのサッカーの試合の中継など、あらゆる方法で客を引き留めようとしました。
ところが、アルタムーラの若者たちは、マクドナルドで試合を見て、そのあとでパン屋に行ってパンを買う、という有様だったそうです。

アルタムーラ

アメリカではショックだったようで話題になりました。

南イタリアの人も、かなりスカッとした様子。
パーネ・ディ・アルタムーラはヨーロッパで最初にDOP製品に認定されたパン。
手間暇かけて作る、スローな食材。
生地をこね機で20分こね、室温で最低90分発酵させ、手作業で整形して休ませ、かまどの扉を閉じて15分焼き、さらに扉を開けて45分焼く。仕上げに扉を開けて蒸気を出して皮をパリッとさせる。焼く温度は皮の状態によって変えるので一定ではない。
バイトには作れないパン。
かまどは酵母から発生する炭酸ガスを抜くために中央部分の高さが1m80cm必要。
焼き上がったパンは薪の香ばしい香り。この香ばしさがパーネ・ディ・アルタムーラの特徴。


分こね、



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総合解説
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