2025年5月8日木曜日

ハリーズ・バーのアリ―ゴ・チプリアーニは、オリエントでは米は蒸してコントルノとして食べるが、イタリアでは美食文化のベースとなる食材として扱う、と書いた。このプライドがイタリア料理。

ミラノ万博で発表された料理、スパゲット・ミラノの話、続けます。
パヴィアのレストラン・リノのアンドレア・リバルドーネシェフが考案した1品で、(CI1月号P.6には)この料理のアレンジ、“リングイーネ・ミラノ”のリチェッタが載っています。
ミラノ万博の際に、イタリアとミラノの伝統料理のミックス、として作られました。
リゾット・アッラ・ミラネーゼは、ミラノを象徴する料理であり、イタリア料理を象徴する1品でもあります。
ちなみにパヴィアもミラノもロンバルディア州。
日本では、リゾットのことをおじやと思ってる人がいて、ごはんにお味噌汁をかければリゾットになると信じられているようで、時々ショックを受けますが、ミラノ風リゾットは、米とサフランの結びつきから生まれた、歴史のある料理です。


米とサフランの組み合わせは、アラブ人が中世から使っていました。
イタリアには、アラブからシチリア経由で伝わったと考えられています。
米もアラブ人によってシチリアに伝わりました。
ロンバルディアは、この地方に米が広まる前に米の栽培が広まった地方で、1550年の調査によると、田んぼは5万ha以上あったそうです。

イタリアで言われているのは、美味しいリゾットを作るには米の選択が重要、ということ。ミラノ料理の傑作本グイド・トンマージの『クチーナ・ミラネーゼ
は、何度も言ってますが、裏表紙を見てください。なんと、米が一粒ずつ描かれているのです。手書きですよ。ごはんじゃなく、1粒1粒が際立つのがイタリアの米。
そして北イタリアのリゾットの聖地といえば、ロンバルディアとヴェネトです。
ヴェネト料理と繁盛店の秘密が詰まった本、『ハリーズ・パー
には、米について
こんなことが書かれていました。
「オリエントの国々は、米を消費する伝統がありますが、米を蒸してシンプルにコントルノとして用いています。一方、イタリア人の創造力は、米をガストロノミーの基本的な食材として扱います。調理方法も無数にあります」とあります。

ミラノの新世代シェフの代表、ダヴィデ・オルダーニは、イタリア地方料理の本『メイド・イン・イタリー

の中で、
「美味しいリゾットを作るには、米の質が重要と話しています。」
イタリアの米のことなんて知られてないと思いますが、リゾットに最適の米は、ロンバルディアではカルナローリ、ヴィアローネ・ナノと考えられています。そしてベネトではアルボーリオです」と語っています。

カルナローリは米の王様。

カルナローリの歴史

イタリアの米に対するプライドと信頼は、日本人と比べても劣らない。


そもそも、ミラノ風リゾットの誕生の背景には、とても有名なファンタジー溢れる話があります。
その物語は、ミラノのドゥオモのベルギー人のガラス職人の親方、バレリア・ディ・フィアンドラと、彼の弟子の一人のザッフェラーノいうあだ名の若者が主役。
ザッフェラーノはガラスの染料に黄色を使うのが得意でした。彼は親方の娘の結婚披露宴に、米を黄色く染めて正すことを提案した。するとこれが客たちに大受けしたのだった。こうしてリゾット・ミラネーゼの伝統が生まれた。

ミラノのドゥオモのステンドグラス。

サフランの歴史

米の歴史

イタリアで知られている米の歴史は、私たちが知っているものとはかなり違う。

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(CIR)は『クチーナ・イタリアーナ』と『サーレ・エ・ペペ』という2冊のイタリア料理の月刊誌のリチェッタと記事を日本語に翻訳した約50ページの小冊子です。イタリアの地方料理の本としては最高の雑誌です。
価格は1冊\900(税・送料込)、1年12冊の定期購読だと15%引きの\9200(税・送料込)になります。紙版と、ネット上にupするPDF版があります。PDF版の価格は\800/号、定期購読は\7700/1年12冊です。料理雑誌も販売しています。

現在、2022年の号を販売中です。それ以前の号と、旧総合解説はシステムの変更のため販売を終了しました。
現在販売している(CIR/クチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)バックナンバーは、2021年1~12月号です。
現在販売中の定期購読は2023年版。
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