サルデーニャの子羊料理を語るには、サルデーニャの食文化を知っとかなくては。
という訳で、まずはサルデーニャの羊飼い文化の中心地、バルバージャ地方のアグリトゥーリズモの食事でも。プーリアに通じるものを感じます。これは美味しいに違いない。
羊の腸の料理、コルドゥーラ。サルデーニャ料理は独特すぎて理解するのがちょっと大変。
どうやらサルデーニャは、普通イメージする南イタリアとは違った一面があるようです。
サルデーニャはイタリアの島の中でも、本土から最も遠く離れた、孤立した島です。青い海、地上の楽園とも呼ばれる豊かな自然。
サルデーニャは交通の要所にあったため、侵略者が多く、支配者も、フェニキア、カルタゴ、古代ローマ、アラブ、ピサ、ジェノバ、教皇、アラゴン家、オーストリア、サボイア家トと次々に変わりました。サルデーニャでは「禍は海からやってくる」、と言われ、誇り高い独立の精神を持つ島民たちは、外からやってくる侵略者から逃れるために、よそ者が入り込めないように山の中へと移り住み、本物の純粋なサルデーニャ料理は羊飼いと農民が作る内陸の料理となりました。
よそ者を簡単に受け入れない、とは、南イタリアの魅力の半分が消えてしまったよう。
サルデーニャの子羊Igp。
羊の飼育は島の重要な産業で、かつて羊飼いは、一度山に入ると家族と離れて何か月も徒歩で移動しながら暮らした。
食事は限られた材料と道具で作らなくてはならなかった。
鍋を使わない料理、乳飲み子豚の串焼きはその1例。今月のCIR(P.51)では、調味はミルトやサフランなどとグリーンピースや細いアスパラガスなどの春の野菜、身近で手に入る地元のもの、とあります。対してもっと風味が強い中央イタリアの子羊料理はにんにくやアンチョビなどの強いソースや煮込みが多いそうです。
乳飲み子豚の串焼き
(CIR2021年3月号の地方の食文化の記事、“ベルパエーゼ”)では、サルデーニャが取り上げられていました。
サルデーニャのスペチャリタの中に、“サフラン”がありました。
イタリアのサフランは質の良さで世界的に知られています。
世界のサフランの90%はイラン産。残りの10%は、スペイン、インド、ギリシャ、モロッコ、イタリア産。サフランは雨が少ない場所で育ちます。
イタリアのサフランと言えばラクイラのものが有名ですが、サルデーニャでも生産されています。
ラクイラのサフラン。
香りが強く、フェニキア人が伝えたサルデーニャのサフラン。
子羊肉のサフラン煮のリチェッタの日本語訳は(CIR4月号)P.52。材料は子羊の前半分の身とあります。子羊の部位のこんな大雑把な説明、初めて見ました。これをトマトとサフランを溶いたブロードでとろ火で煮ます。付け合わせは蒸した細いアスパラガス。絵になるなあ。
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