今日から(CIR/クチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)2021年5月号の解説です。
まず、移牧に出発するために美しく飾られた牛を見た後なので、最初の記事は“ストラッキーノ”です(P.13)。
ストラッキーノは、ロンバルディアの方言で“疲れた”という意味のstraco/ストラッコ。
4㎞山の上の放牧地から時速4㎞のペースの旅から戻った、重さ700㎏の疲れた牛のミルクから作るチーズ、という基本情報は、知っていたのですが、その旅の間に牛が食べるのが夏り終わりの栄養が少ない草で、牛乳はたんぱく質や脂肪も少ない、ということは初めて知りました。色も黄色より青みがかっているなんて、牛たち、えらい。つまり、掛け値なしに疲れている牛のミルクがベースなんです。
こんなちょっと悲惨な牛のミルクから、個性が大きく違う数種類のチーズが造られています。
有名なのは、ゴルゴンゾーラ。
ロンバルディアの今どきの放牧の動画を見つけてしまった。
2階建ての大きなトラック数台で山の放牧地へ出発。
夏休みの林間学校にでも行くみたい。
猛暑の中で見る山の放牧地は、涼し気~。
きっとこの牛たちは元気一杯に違いない。
やっぱり動物愛護の観点からも、疲れた牛のミルクなんて、残酷すぎる。
でも安心してください。帰り道は下りですから。
ストラッキーノ。
ミルクは朝晩2回の搾乳から作る。
2回の搾乳から作るチーズというのはイタリアのチーズの一つの大きな分類なので、どういう製法なのか気にはなっていましたが、今回は、かなり詳しく書かれていたので、正直、まったくいみふながら、頑張って訳してみました。
正直言って、羊飼いってすごい理系な職業じゃない?
夜の間、1回目の搾乳のミルクは酸凝固が進み、乳酸菌が糖分を食べて乳酸を作り、乳酸は酸度が低下してカゼイン分子を沈殿させる。
これに朝の搾乳分のミルクを加え、さらにカゼイン分子を分解する子牛の胃から取ったレンネットも加えると、カゼイン分子が凝縮してと再圧縮され、液体成分の放出が可能になる。
これだけ書くだけでもくたくたです。
この基本的理論を理解したうえで、次はいよいよ、代表的ストラッキーノ、ゴルゴンゾーラを見ていきます。
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