2021年5月20日木曜日

アリスタを巡るトスカーナの伝説。昔はキアーナ牛より豚肉だった。アリスタのオーブン焼き

豚肉料理、今日はアリスタarista。
リブロースのあたり。まずフィレットとロースを切り取り、次に肋骨の先端部分はロスティンチャーナ用(スペアリブ)と言って切り落としています。
さらに肋骨を切り落としたのがアリスタ。


アリスタのロースト。
日曜日のご馳走のセコンド↓
下ごしらえしながら、アリスタという名称がどうやって生まれたか、説明しています。
なんでも1439年にフィレンツェで行われたキリスト教の宗教会議が縁だとか、難しそうな話ですが、これはなかなか有名な話。
簡単に言うと、東方とローマカトリックの2つに分裂していたキリスト教の最高会議がフィレンツェで開かれた時、フィレンツェでは晩餐会に各種のご馳走を用意して東方の偉い人をもてなしていました。
当時のトスカーナのシンボルは豚肉で、まだビステッカ・フィオレンティーナではなかったのですが、それに劣らないくらい人気で自慢なのがトスカーナの豚肉でした。
ある時、豚のロース肉のローストを食べたギリシャ人の司祭が、ギリシャ語で思わずarista!アリスタ!/「素晴らしい !」と叫んだ、というのです。それ以来、豚のリブロースのロースト用ブロックが、アリスタと呼ばれるようになりました。
この料理は、カテリーナ・デ・メディチもお気に入りだったという落ちがつくあたりから、ちょっと盛りすぎとも思うのですが・・・。

豚肉の話になると、やっぱりトスカーナ料理の出番です。
ちちなみに、トスカーナはキアンティ地区の人気店、マンジャンド・マンジャンドのアリスタのローストは、チンタ・セネーゼのパンチェッタ付きのアリスタを使うそうです。
さらに、アリスタはドロガトゥーラdrogaturaと呼ばれる下味付けを行うのがポイントです。
焼く前に、肉を熟成させながら、にんにく、ローズマリー、塩、粒こしょう、オレンジの皮、パンチェッタを骨の間の切り込みに詰めて風味をつけます。


アリスタの定番の付け合せはグリーンピースも、にんにく、ローズマリー、パンチェッタの小角切り、塩、砂糖少々(豆の甘みを引き出す)と一緒に煮ます。
お肉屋さんのアリスタのオーブン焼き↓



それでは、スローフードの

オステリエ・ディ・イタリア新版』から、


売り切れ間近です。お勧めはスローフードの地方料理書の最新版、イタリア・イン・クチーナ


マンジャンド・マンジャンドの
アリスタのオーブン焼きのArista al fornoリチェッタをどうぞ。
材料/4人分
 豚のアリスタ(できればチンタ・セネーゼのパンチェッタ付きのもの)・・500g
 にんにく・・4かけ
 セージ・・1房
 ローズマリー・・1房
 ジュニパー・・数粒
 赤ワイン・・2カップ
 EVオリーブオイル
 塩、こしょう
 
・肉を広げてたっぷり塩、こしょうし、ローズマリー、にんにく、ジュニパーのみじん切りを散らす。パンチェッタを肉で巻いて糸できつく縛り、天板にのせて油を塗る。150℃のオーブンで1時間焼く。
・ワインをかけて20分焼き、180℃に上げて外側をカリッと焼く。
・ゆでた白いんげん(カンネッリーニ)と肉汁を添えてサーブする。


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オステリエ・ディ・イタリア新版

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