2022年10月19日水曜日

時代の変化は昔ながらのトラットリアを直撃している。

バーカロもピオーラもフラスケッテも、意味は同じ、オステリアです。
オステリアとほぼ同じ意味なのがトラットリア。
オステリアとトラットリアの違いは、イタリア人でも分からないようですが、古いトラットリアと新しいトラットリアの違いはかなりはっきりしてきたようです。
今日は、(CIR)11月号で訳した『サーレ・エ・ぺぺ』の記事(P.20)の解説です。
かつては、オステリアではワインは“ヴィーノ・スフーゾvino sfuso”と呼ばれるイタリアのオステリア独特の方法でサーブされていました。


4/3ℓか1/2ℓのカラフェに入れてサーブされるヴィーノ・スフーゾはワインの伝統的な販売方法。通常のワインはヴィーノ・イン・ボッティリアvino in bottigliaと言います。またはvino alla spina、“樽生ワイン”だそうです。エコバッグを持ち歩く時代になると、ボトルを持参する量り売りは最先端のエコかも、なんて感じます。でも、時代的に、ガラスのボトルからペットボトルやプラスティックの容器に代わり、それが禁じられて議論が噴出しているようです。
樽ワインが信仰されているイタリアで、プラスチックを使うヴィーノ・スフーゾは消えつつあるのかも。
 
 記事でもう一つ、新しいトラットリアの象徴として取り上げたのは、パスタです。古いトラットリアのパスタはスーパーで売られているものですが、新しいトラットリアのパスタはグラニャーノの小さな作り手のもの、と指摘しています。これは、オステリアやトラットリアという場所が、必要に迫られて外食しなければならない人に安く食事を提供する場所から、地元の伝統的な食材を味わうことができる場所と認識されるようになってきたことと関係があるようです。
 記事には、イタリアは、各地の良いところを取り入れるのが得意な国、とどこかで何度も聞いたようなセリフも出てきました。でも、トリノでアブルッツォ料理は出さない、といった地元溺愛主義は変わりません。
今でもかたくなに変わらないのは、料理人の腕がよく、温かい家庭的な雰囲気の店、という点です。
トラットリアが舞台のミステリーで知られる作家の言葉ピサーノ・マルコ・マルバルディPisano Marco Malvaldiの言葉は、納得です。代表作はbarlumeシリーズ↓。ピサ大学に在学し、デビュー作の舞台はトスカーナのビーチ。


彼にとってのトラットリアとは、木曜はニョッキ、土曜はトリッパを出す店で、料理上手のおばあちゃんが作る料理を家庭のような雰囲気で食べる店。トラットリアで食べる料理はお気に入りのテレビシリーズのようなもので、何が起こるか分かっていても、大好きなのだ。

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イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
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