今日のお題は(CIR11月号)の特集記事、“イタリアの伝統のトラットリア”(P.20)です。
trattoria の語源は、フランス語のtraiteursトレトゥールス”だそうです。食材を扱う人、という意味だそうで。
さらに、トラットリアのイメージは、壁の生物画、陶器の白くて重い皿、家庭的な雰囲気、メニューを読み上げるシニョーラ、ホールへの扉の後ろで肉を叩く料理人、主役のイタリアの地方料理の大きなメニュー・・・、そしてこれらを一言で言い表せる言葉が“トラットリア”。
下の動画は、続荒野の用心棒で知られるいマカロニ・ウエスタンの監督、セルジオ・コルプッチの『イル・ベスティオーネ』のトラック運転手のたまり場のトラットリアのシーンです。
冒頭、車で後からやってきたシニョーラが、squsi signori, come si mangia qua?と聞いてますね。このフレーズ、使えそうかも。
店の中は、見事にトラック運転手で満員です。
席に着く前に店のおかみさんに声をかけて、ここにきてハグしてくれよ、と挨拶。シニョーラは、「来ると思ってたわよ、あら、この連れのいい男は誰?と余裕でかわしてます」ちなみに連れは、若かりし頃のジャンカルロ・ジャンニ―ニ。007にも出てるけど、ハリウッドでイタリア人の年配の大富豪のラスボスを演じるならこの人しかいないけど、若い人は知らないですよね。
イタリアでもトラック運転手は本格的な伝統料理を出す美味しくて安いトラットリアをよく知ってる人と思われて、おなかすかせた運転手とシェフがイタリア中のトラットリアを探すテレビシリーズも造られました。↓
ところで、先日、ベネチアのオステリアの話を書きましたが、トラットリアは、言葉はフランス語が語源でも、そのルーツは古代ローマから続く中世のオステリアです。レストランはもっと現代的で、中産階級のための場所。仕事のために人が家を出るようになって以来、存在します。次第に大衆的な軽食を出す店になり、必要に迫られて外食しなければならない人に安い食事を提供する店としての役割が確立しました。家族経営で、料理は店員が独学で身に着けた地元の伝統料理を出しました。
ランゲ地方ではピオーラpiola と呼び、パレルモではロスティッチェリーアrosticceria、
ベネチアではバカーリbacariと呼ぶようになります。
ピエモンテのアルバに、その名もピオーラという有名店があります。
リストランテ・ラ・ピオーラとなっていますが、店内の雰囲気はピエモンテのオステリアを再現したもの。
パレルモのロスティッチェリーア。
ベネチアのバーカリ。
トラットリアとオステリアはの概念はよく似ていて、以前はトラットリアは主に食べる場所、オステリアは飲む場所と考えられていました。現在では両者の概念は混ざり合って、土本の伝統的な食材を味わうことができる場所としての新しいトラットリアやオステリアの概念が生まれています。
次回は新旧のトラットリアやオステリアの違いについて。
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