2022年10月14日金曜日

炭水化物の王国、モデナとボローニャ。彼らは野菜の存在を完全に忘れてる。

11月のリチェッタから、今日のプリーモは、“ペコリーノクリームのトルテッリーニ・イン・ブロード”です(P.7)。
トルテッリーニ・イン・ブロードなら、詰め物入りパスタの王道ですが、今回の料理は、トルテッリーニ・イン・ブロード・ディ・ペペです。
こしょうのブロードだそうで。
昨日のポルチーニのタリアテッレは、ポルチーニのソースに豚肩肉のブロードを加えてコクを出したソースでした。今回のトルテッリーニは、パスタソースにブロードを加えるアレンジです。
トルテッリーニ・イン・ブロードに関しては、7月号のマッシモ・ボットゥーラシェフの特集号で、カステルフランコ・エミリアのトルテッリーニについて詳しく解説しています   (P.15)
そもそもの元になったのは、ビーナスのおへそを再現したのは、カステルフランコのラ・コロンナという宿屋の主人だったと、モデナ出身の詩人のタッソー二が書いて一躍有名になった伝説です。
カステルフランコ・エミーリアはモデナ県のコムーネですが、1929年まではボローニャに属していました。でも、この伝説の舞台となった時代、モデナとボローニャは戦争をしていました。
そんな事情が、このパスタがボローニャとモデナの間で本家争いが起こるような事態を引き起こしています。
とは言え、モデナもボローニャも、よく似たイタリアを代表する美食の街、と世界中の人は考えています。
モデナとボローニャ。

モデナ・フードツアー。


炭水化物の王国、モデナやボローニャで食べ歩きするなら、この人みたいな底なしの胃袋がある若者でないと無理。見てるだけでおなか一杯。
最初のほうに登場するcavallino rampante跳ね馬の話は、フェラーリのエンブレムのこと。若者にとっては、フェラーリは何よりも燦然と輝くモデナの誇りなんだろうなあ。
素晴らしい食リポをする若者ですが、モデナを代表するレストラン、オステリア・フランチェスカーナは店のドアを映すだけで、視聴者が増えたらいつか予約するという捨て台詞を残してそそくさと去って行くのが潔い。

ボローニャ、フードツアー。

モデナとボローニャのフードツアーの動画を見て、おばちゃんは言いたくなりました。野菜を食べなさい。

タリアテッレなどのパスタの本場として知られるボローニャですが、この街がパスタの街になるのに欠かせなかったのが、運河です。

ボローニャの運河は、大部分が地下にあります。運河は物流を盛んにし、ボローニャに富をもたらしました。
このあたりがモデナとの違いかもしれません。

ボローニャの運河。

水の街、ボローニャ。ボローニャには西洋で最初の大学も造られました。
大学の研究から、運河の水を動力にした機織り機や粉挽き機を作り出しました。
こうして小麦を小麦粉にして、小麦粉を使った文化が生まれ、普及していきます。
小麦粉の次は、小麦をこねて麺にする職業、スフォリーネsfoglineの誕生です。

水の街、ボローニャ。

ボローニャのスフォリーネ。昔の麺打ちは主に女性の仕事でした。でも、男性の参加は年々増加している。


そしてボローニャやモデナのパスタの完成形がトルテッリーニ・イン・ブロードです。

次回に続く。


------------------------------------------------------- 
=====================================
イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
[creapasso.comへ戻る]
====================================
=====================================

0 件のコメント:

ブッラータはプーリア以外の地方の定番料理にもよく合います。コクとフレッシュさが同時にあるこのチーズは、成功するマーケティングを研究した魔法使いが生み出したようなチーズ。

今月の(CIR/クチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)の食材の記事は、“ブッラータとモッツァレラ”。 リチェッタも数品紹介されています。 1品目はブッラータのジェラート。 純白のジェラートで、見た目はとても美しいのですが、残念ながらブッラータのジェラートの動画は見つからなかったの...