2021年3月23日火曜日

パスタ入門編シーフードのパスタ、ベネチアとナポリのスパゲッテイ・ボンゴレ

スローフードの

スクオラ・ディ・クチーナ”シリーズ

『パスタ・エ・スーゴ』
は、読み込んでみると、乾麺のパスタの教科書としてとても良くできた本であることがわかります。

まず、スパゲッティ。
美味しいパスタの条件など基本を知ったら、次はソースです。
スパゲッティのソースは、チーズ(カーチョ)がベースのものが最初の一歩。
次はこれにグアンチャーレやパンチェッタなどが加わります(アッラ・グリーチャ、カルボナーラなど)。
さらにトマトが加わります(アマトリチャーナ)。

次は、いよいよパスタソースの世界が展開します。
ベースの食材は、歴史や地理の知識をつけつつ、野菜、魚、貝、豚肉の加工品へと拡大していきます。
最初は野菜がベースのソース。
どんな野菜もスパゲッティとは相性が良いのですが、その代表はトマト。
アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノに野菜を1つ加えるだけでも新しいソースが誕生します(パスタ・アッラ・ノルマ)。
野菜のゆで汁にオリーブオイルを加えて乳化してとろみをつけ、ソースにするテクニックも身につけます。
野菜とオリーブオイルの組み合わせは地中海の風味でもあります。

そして次は魚のソースです。
魚はオイル漬けや塩漬け(アンチョビ、ツナ、ボッタルガ、コラトゥーラ)、または生魚の2つのタイプがあります。
魚はカタクチイワシなどの大衆魚や切り落とし、粗を使います。
イワシのパスタはシチリアの名物料理。

ピーノ・クッタイアシェフのカタクチイワシのパスタPasta con le sarde
材料/4人分
パスタ・・400g
フィノッキエット・セルバティコ・・500g
トマトペースト・・25g
松の実・・50g
レーズン・・20g
パン粉・・50g
カタクチイワシ
アンチョビ・・4枚
玉ねぎ・・2個
サフラン(ホール)・・0.5g

・フィノッキエットは硬い部分を取り除いてみじん切りにする。
・玉ねぎをみじん切りにする。
・フィノッキエット、松の実、サフラン、レーズンを油でソッフリットにする。
トマトペーストを加えて色付けする。
・スパゲッティのゆで湯にてもサフランを加える。
・イワシの頭、内蔵、骨を取り除いてソッフリットに加える。
・サフランとフィノッキエットの茎を加えた湯でパスタ(スパゲットーネ)をゆでる。
・パン粉を油で炒める。
・皿をサフラン、レーズン、松の実で飾る。
・その上にパスタを倒したニード型に盛り付けてソースをかけ、パン粉を散らす。

かなりこてこてでくせの強いシチリア料理ですが、シェフのセンスでモダンで洗練されたパスタになっています。

次は、いよいよ今回のテーマ。
貝や甲殻類のパスタです。
貝には一枚貝と、ムール貝やアサリのような二枚貝があります。
二枚貝は汁に包まれていて、これが美味しいスーゴになります。
タコやイカなどの軟体動物、カニ、エビ、オマールなどの甲殻類も美味しい食材です。
これらの魚の汁を引き出したスーゴがアッラ・ペスカトーラalla pescatoraです。

結局スーゴの主役は二枚貝。
というわけで、このタイプのパスタをfrutti di mareのパスタ、パスタ・アイ・フルッティ・ディ・マーレと呼びます。

 二枚貝のパスタと言えば、アサリのパスタ。
アサリのパスタはナポリの名物として知られていますが、ベネチアも負けていないみたい。
ナポリ(フィーリア・ド・マレナロwebページ)対ベネチア(オステリア・ダ・フィオーレwebページ)のアサリのパスタという動画↓

ベネチアのシェフが最初に説明しているのは、アサリは国産品種のヴォンゴレ・ベラーチェvolgole veraceと呼ばれるものを使っているということ。国産アサリが減った際にアジア産のアサリが導入されて広まった結果、輸入アサリと国産アサリを区別する呼び方がイタリアではすっかり定着しました。
ちなみに輸入品種は水管が2本にはっきり別れているそう。
このことを知って以来アサリの水管をいつも注目しているけど、このタイプには滅多に出会わない。
味が違うと言ってイタリアではみんな国産アサリにこだわる。
でも入手は大変。

ベネチアのボンゴレの材料は、
スパゲッティ・・400g
国産アサリ(ベネチアでの呼び方はカパロッソリcaparossoli)・・500g
にんにく・・2かけ
EVオリーブオイル・・100ml
白ワイン(プロセッコ)・・50ml
ミニトマト(ダッテリーニ)・・200g
イタリアンパセリ・・大さじ2
唐辛子

・アサリを砂抜きする(ボールに叩きつけるように入れているのはこうするとよく砂を吐くから、だって)。
ダッテリーニ(大型なので数が少なくてもOK)を半分に切る。唐辛子を薄切りにする。皮付きにんにくを潰す。イタリアンパセリの葉を外し(みじん切りにしない)、茎は取っておく。
・ソテーパンに油と水を熱し、水が沸騰したらにんにくと唐辛子を加えて水気がなくなるまで熱する。こうするとにんにくが焦げずに香りが出る。
・イタリアンパセリの茎、トマトと塩少々を加えてとろ火で2分熱して香りをトマトに移す。
・アサリを加えて蓋をし、火を強める。ワインをかけ、火を弱めて蓋をする。アサリが全部開いたらにんにくとイタリアンパセリの茎を取り除き、2分短くゆでたパスタ(ソテーパンで2分熱する)とイタリアンパセリの葉を加えてなじませる。
・皿に横長のニード型に盛り付けてアサリをのせる。

ナポリのボンゴレの材料は
スパゲッティ・・400g
アサリ・・1kg
にんにく・・3かけ
EVオリーブオイル・・150ml
ピエンノロのミニトマト・・250g
イタリアンパセリ

・アサリは海水程度の塩分で5~6時間砂抜きする。
・にんにくを薄切りにして油でソッフリットにする。
・にんにくに焼き色がついたら取り除き、アサリ、水少々、ピエンノロトマトを加える
・アサリが開いたらパスタをゆでる。
・アサリの汁を別の鍋に入れ、ここにパスタを入れてよくなじませる。
・皿に横長に盛り付けてアサリをのせ、イタリアンパセリで飾る。

ベネチアのアサリの砂抜きや、ナポリのシェフの癖が強すぎて、面白くて先に進まない~。

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スクオラ・ディ・クチーナ”シリーズ

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