2021年3月5日金曜日

ナポリとシチリアの料理はよく似ているが、アラブというキーワードがあると断然シチリア風。

今月の「総合解説」のピクニック料理の話、2品めは、ズッキーニとパプリカのポルペットーネです。
『サーレ・エ・ペペ』誌の表紙にもなっているインパクト大な美しい料理。

ピーマンのリピエーノのバリエーションの一種です。
リチェッタはP.41
ピーマンを器にして中にポルペットーネを詰めた、持ち運びできる料理。
クチーナ・ディ・ナポリ』には、こうあります。

ピーマンはナポリ人が大好きな野菜で、小さなものや辛いものなど様々な色や大きさ、味の品種が栽培されている。幸運を呼び、邪眼を吹き払うお守りとしても信じられている。

ナポリもシチリアも、同じブルボン家に支配される国だったので、その料理も自然と似ている。なすのパルミジャーナのように、2つの街の間で本家争いが起きている料理もある。
リチェッタを調べている時に感じたのは、なす愛が強いのはシチリア、ピーマンはナポリ、という印象だった。

野菜を育てながら料理をしているジョルジョーネの本、『ジョルジョーネ/オルト・エ・クチーナ』には、もちろん、夏の章になすが登場する。

夏は新鮮な野菜、そしてなすの季節。
なすはアラブ人が持ってきた。大きいものや長いもの、丸いもの、黒色、紫色など、様々な品種があるが、私は紫色の紡錘形の甘くて種が少ないなすが好きだ・・・。

なすをアラブ人が伝えたということをイタリアではみんな知ってるみたいです。
日本人はナスの原産地、知ってるかなあ。
こちらのページによると、日本のナスとヨーロッパのナスでは原産地が違うようです。
パスタもそうですが、小麦粉がアラブを経由してスパゲッティになったように、アラブ経由の食べ物は、独自の歴史を経て普及していく傾向があり、なすの原産地も、案外重要なポイントかも知れません。
なすの場合、アラブというキーワードのせいで、ナポリ対シチリアの戦いはシチリアの勝利です。
ピーマンはナス科の野菜ですが、もちろん原産地は中南米。アメリカ経由の野菜にアラブが関わるチャンスはなかった。これはナポリの勝ち。

輪切りなすの持ち運べる料理、なすのコトレッタ、別名コルドンブルー。Cotolette di melanzane (Cordon bleu di melanzane)

材料/4人分
なす・・4個
ハムか生ハム・・100g
プローボラかスカモルツァ・・100g
卵・・1個
小麦粉・・大さじ4~5
水・・1カップ
パン粉
EVオリーブオイル、塩

・なすの皮をむき、厚さ6~7mmの輪切りにする。
・なすを2枚ずつ並べて開く。チーズのせてナスに合わせて切る。
・さらにハムか生ハムを載せて閉じ、抑えてしっかり閉じる。
・衣を作る。卵と水を混ぜて塩少々、小麦粉を加える。ダマが消えたら水を足して濃度を調節する。
・なすを抑えてしっかり閉じ、衣、パン粉をつける。ナイフの刃で表面全体を抑えて平にする。
・170℃の油で1、2個ずつ揚げる。

ナスのコトレッタのパニーノ

詰め物入りピーマンのオーブン焼き/ペペローニ・インボッティーティPeperoni imbottiti


クチーナ・ディ・ナポリ』のリチェッタを訳してみます。

材料/3人分
パプリカ・・3個
パン粉・・大さじ4
塩抜きしたケッパー・・50g
ガエタの黒オリーブ・・80g
EVオリーブオイル・・50ml
アンチョビ・・2尾
なす・・1個
ミニトマトの小角切り・・3~4個
にんにく・・1かけ
揚げ油

・ナスを小角切り切りにする。塩を振って1時間置き、アクを出す。
・洗って水気を拭き取り、揚げる。
・パプリカは上部を切り取り、切り取った部分は取っておく。種をくり抜き、たっぷりの油で1個ずつ揚げて皮を全部むく。
・パン粉を油を加えずにトーストして焼き色をつけ、冷ます。
・パン粉、なす、種を抜いたオリーブ、ケッパー、小さく切ったアンチョビ、にんにくのみじん切り、ミニトマトの小角切りを混ぜる。
・これをパプリカに詰めて上部で蓋をし、180℃のオーブンで40分焼く。

シチリア風パプリカのリピエーニPeperoni ripieni alla siciliana
・黄と赤のパプリカ6個のへたをくり抜き、種を取る。洗って伏せて置き、乾かす。
・葉玉ねぎ2本のみじん切りをEVオリーブオイル200mlでソッフリットにし、レーズン大さじ2、松の実大さじ2、パン粉350g、レモン汁1/2個、砂糖大さじ1/2を加える。
・火を止めておろしたカチョカバロ120gを加え、ボールに移す。
・バター、スライスチーズ1/2枚、パン粉大さじ2、小さく切ったゆで卵1/2個、モルタデッラの小角切り数片、ハムの小角切り数片、プリモサーレとカチョカバロ・フレスコの小角切り数片、バター、パン粉適量を詰めてへたで蓋をする。
・油を塗ったオーブン皿に並べて塩を散らし、180℃のオーブンで50分焼く。


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ジョルジョーネ/オルト・エ・クチーナ
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1 件のコメント:

sandy さんのコメント...
このコメントはブログの管理者によって削除されました。

よもぎはドイツ語ではベアムート。かっこよくてお餅につける名前じゃないよね。トリノでパティシエが白ワインとよもぎから作りだしたのがベルモット。

今日のお題は、メイド・イン・イタリーの食材です。(CIR2022年1月号P.37の記事) その食材は、ベルモット。ピエモンテ州トリノで誕生したフレーバード・ワインです。 白ワインにスパイスとハーブを加えて香りをつけたもの。 ところで、ベルモットはドイツ語の“ヨモギWermut”が...