2021年3月13日土曜日

おばあちゃんちのサーラ・ダ・プランゾは毎週日曜日にだけ開けた。


トスカーナの農民の普段着の暮らしを教えてくれる本、『ルフィーノのトスカーナ』は、読むたびにいい本だなあ、と思うので、菖蒲とフィレンツェの話の続きも、ちょっと訳してみます。
“日曜の夕食il pranzo della demenica”という章です。

「私は騒々しい祖母の夕食をまだ覚えている。
小さな家で、ダイニングルーム(サーラ・ダ・プランゾsala da pranzo)も小さかった。
この部屋は週に一度だけ使い、それ以外の時はいつも閉められていた。
直射日光が差し込まない、掃除が行き届いた部屋だった。
日曜日には部屋が広がるような神聖さが漂い、みんなが集まった。
近所に住んではいなかったが、みんなが集まって食事をするこの機会は、家族全員にとって特別だった。いまでもこの時の料理の香りや、儀式めいた気分を思い出す。
家の戸棚には村の市場で仕入れた食材が運び込まれ、料理は朝から準備されていた。
鍋ではソースがことこと煮えていて、ほうれん草と羊飼いから買ったリコッタのラビオリは手打ちだった。母と叔母は自慢のレバーのクロスティーニを作った。
肉料理は季節によって、“ロスビフrosbif”か“アッロストarrosto”だった。
パンは白いパーネ・ショッコでいつもたっぷりあった。
ドルチェとチーズを待つ間の口直しに、ソファーに熱いコーヒーとグラッパを運ぶ。
テーブルでは祖父の席は上座で、ワインの担当も祖父と決まっていた。
その脇には娘たち、つまり私の母と叔母の夫、そして子どもたちの順に座った。
食事はいつもたっぷり用意され、たっぷり食べた。
前菜はクロスティーニやアッフェッターティ、手打ちパスタのプリーモ、野菜のコントルノを添えた肉料理、そしてドルチェとコーヒー。
コーヒーの香りが部屋に満ちたら、食事の終了だ。
食事の間は何でも率直に、まじめに話した。食事が終わると腹ごなしに丘や街の中をおしゃべりしながら散歩した。
子供の頃からいつきはも日曜日にはおじいちゃんとおばあゃんの家で食事をした」


トスカーナの前菜の定番、クロスティーニ・ネリCrostini neriことレバーのクロスティーニは日曜のプランゾや重要な食事の前菜としてもお馴染み。
大皿に盛り付けて手づかみで、大勢で食べるパーティー料理。
ベースとなるのは鶏の内蔵のパテ。レバーが一般的ですが、脾臓や心臓を使うこともありました。

初心者向けにイタリア料理の基礎を教えてくれる本、『マンマミーア』には、クロスティーニ・ロッシのリチェッタがありました。
黒いクロスティーニがあるなら赤いクロスティーニもあるはず。真っ赤なトマトのクロスティーニです。
クロスティーニ・ロッシ・ピッカンティCrostini rossi piccanti
材料/
ホールトマト・・200g
固くなった田舎パン・・4枚
唐辛子・・1本
にんにく・・2かけ
EVオリーブオイル
オレガノ
塩、こしょう

・フライパンで油とにんにく、唐辛子を熱して香りをつけ、軽く刻んでフォークで潰したトマトとオレガノを加えて塩味を整える。
・時々かき混ぜながら煮詰める。
・パンをトーストして粗熱を取ったトマトソースを塗り、サーブする。

クロスティーニ・ロッシ・ピッカンティ

鶏レバーのクロスティーニCrosstini di fagatini di polloのリチェッタはダヴィデ・オルダーニシェフのメイド・イン・イタリー

から
材料/
鶏レバー・・400g
ビネガー・・1/2カップ
バター・・100g
玉ねぎ・・1/2個
ブロード・ディ・カルネ・・100ml
塩抜きしたケッパー・・40g
オイル漬けアンチョビ・・4枚
セージ
塩、こしょう
《仕上げ》
バゲット・・1/2本
EVオリーブオイル


・レバーを水とビネガーで10分マリネする。
・玉ねぎのみじん切りとセージをバターでソッフリットにする。
・レバーを加えて15分熱し、塩、こしょう、熱いブロードを加える。
・レバーをミキサーにかけ、ケッパー、アンチョビ、残りのバターを加える。
・パンを厚くスライスしてトーストし、レバーを塗ってオイルをかける。
※ケッパーとアンチョビ抜きでもっとレバーの味を強くするリチェッタもある。

クロスティーニ・ネリ












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