2022年11月25日金曜日

ゴンザーガ家の宮廷から受け継がれてきたルネッサンスの味、カボチャのトルテッリ。

今日のお題はクリスマスイブの料理、カボチャのトルテッリtortelli di zuccaです。
ゴンザーガ家の宮廷で、イザベラ・デステ侯爵夫人の料理顧問だったクリストフォロ・メッシスブーコCristoforo Messisbugoの本にこの料理が初めて登場したのは1549年のことでした。
ちなみにこのメッシスブーコさんはエステ家の宮廷料理人としてルネサンスの宮廷料理や食文化を本に書き表して広めたイタリア料理史の重要人物の一人です。

この料理のリチェッタは、パルマやクレモナの宮廷料理人やパスタ職人が移り住んだ街に広まりました。トルテッリと言うのはどこにでもあるパスタで、マントバではクリスマスイブの夜にはどこの家庭でも食べる料理だそうです。甘いカボチャ、モスタルダ、アマレッティの詰め物は、場所によって若干のバリエーションがあるそうなので、ルネサンスの味を体験がてら、様々な町で食べ比べてみるのも面白いかも。ちなみにこの料理の発祥地はマントバとフェッラーラの間で争われています。
ソースは農家の自家製溶かしバターとセージが最も一般的ですが、濃いトマトソースをかける地方もあります。カボチャやアマレットの甘みとトマトの酸味の組み合わせです。
今月の(CIR)の記事(P.31)にもある通り、詰め物入りパスタはポー河沿岸の名物です。この地方の特産品、硬質チーズも入ります。
詰め物のベースはカボチャですがトラットリアなどでは適したカボチャがある時期ならイブでなくてもいつでも作る人気料理です。詰め物が柔らかすぎる時はパン粉を加えて調節します。前日に作っておくと余分な水気が飛んで味が強くなります。
生地は詰め物のデリケートな味が生かせるように、できるだけ薄く伸ばして短時間でゆで上げます。
マントバの、カボチャのトルテッリが名物のトラットリア、ドゥエ・カヴァッリーニ↓

残念ながらリチェッタの動画が見つからなかったので店のリチェッタではありませんが、とりあえず、カボチャのトルテッリの動画をどうぞ。



tortelli di zuccaカボチャのトルテッリ。
材料/
マントバ・カボチャ・・500g

・カボチャを半分に切って種を取り、幅3㎝に切る。皮を切り落として小さく切り、シートを敷いた天板に広げる。170℃のオーブンで20~30分焼き、ポテトマッシャ―で潰す。
・潰したカボチャに粉にしたアマレッティ25g、刻んだりんごのモスタルダ50g、おろしたパルミジャーノ50g、レモンの皮1/2個のすりおろし、たっぷりのナツメグ、塩、こしょうを加えて必要ならパン粉を加え、ラップで覆って冷蔵庫で8時間休ませます。
・0番の小麦粉360gをフォンタナに盛り、塩を加えて溶いた卵4個を加えて混ぜはじめ、5~6分こねて弾力のある生地にします。丸めてラップで覆い、冷蔵庫で30分休ませます。薄く伸ばして5~6㎝角に切り、詰め物を少量ずつのせます。生地を半分に折って長方形にし、詰め物の周囲を抑えて閉じます。
・フライパンでバターとセージを熱します。
・トルテッリを1~2分塩ゆでして取り出し、セージバターのフライパンに入れてなじませます。
・皿に盛り付けてセージバターをかけ、パルミジャーノを散らします。

相性が良いワインは地元のランブルスコ。
マントバのアンティカ・オステリア・アイ・ラナーリもカボチャのトルテッリが有名な小さなオステリア。








=====================================
イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
[creapasso.comへ戻る]
===================================

0 件のコメント:

ブッラータはプーリア以外の地方の定番料理にもよく合います。コクとフレッシュさが同時にあるこのチーズは、成功するマーケティングを研究した魔法使いが生み出したようなチーズ。

今月の(CIR/クチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)の食材の記事は、“ブッラータとモッツァレラ”。 リチェッタも数品紹介されています。 1品目はブッラータのジェラート。 純白のジェラートで、見た目はとても美しいのですが、残念ながらブッラータのジェラートの動画は見つからなかったの...