今日のお題はピエモンテのソース、バニェット・ベルデです。ピエモンテ名物のボッリート・ミストに添えるソースですが、今月の(CIR)ではポルチーニのフリットに添えています(リチェッタはP.4)。
トスカーナ風ポルチーニのフリット。
ピエスモンテ風ボッリート・ミスト。
ピエモンテ風ボッリート・ミストは7種類のソースと7種類の牛肉の部位を使うと言われているが、数に定説はない。
ピエモンテ風ボッリート・ミストの本場、クーネオはカル―の人気店、トラットリア・ヴァッシェッロ・ドーロ。
ボッリート・ミストのワゴンサービス。
ピエモンテのご馳走ということは、サボイア家の宮廷の料理がルーツ。ピエモンテ料理は農民の伝統料理とフランスの影響を受けたサボイア家の宮廷料理から生み出されています。
バニェット・ベルデは緑色のソースという点ではリグーリアのペーストに似ていますが、バジリコではなく、イタリアンパセリのソース。
海のない、さらにはオリーブオイルに縁のないピエモンテ州のソースなのにアンチョビとオリーブオイルを使うという、隣のリグーリアからの食材がなければできないソースでした。
ただ、ピモンテでは、アンチョビはスペイン産がベスト、と昔から信じられていました。オリーブオイルはデリケートなリグーリア産が最高と言われています。
アンチョビはリグーリアの塩漬けアンチョビを行商して回る人たちがピエモンテにはいました。アスティあたりからフランスの海岸伝いに旅をして塩やアンチョビを仕入れていました。彼らがフランス料理の伝統や食材を伝えたケースもあったでしょう。例えば、バーニャ・カウダはバッサ・ピエモンテ地方の料理ですが、正確には中世にプロバンス地方で生まれました。
オリーブオイルはピエモンテでは生産地を名乗れるほどの量は造られていません。でも、隣のリグーリアではオリーブオイルは特産品です。そのオイルは世界中に知られてました。こんな話があります。20世紀初頭、アメリカに渡るためにジブラルタル海峡を通過する人たちが最後に目にしたヨーロッパは、サッソのオリーブオイルの巨大なポスターだったそうです。
サッソのオリーブオイルのCM
ピエモンテではオリーブオイルはごく一部で使われるとても高価なものでした。場合によってはくるみ油で代用したりしていました。にんにくはたっぷりありました。畑の所有者はにんにくを栽培することが法律で決められていたそうです。ちなみに、あまりに大量ににんにくが入っている料理は上流階級には敬遠されました。
ピエモンテ料理は、農民と、フランスの影響を受けたサボイア家の宮廷料理、そしてリグーリアの農作物がベースです。
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