今日は、“ピッツァとその仲間”の話。
『サーレ&ペペ』6月号の記事の解説です。
ブランディのマルゲリータ, photo by Austin Keys
まずはピッツァの王様、マルゲリータ。
これは、ナポリのピッツェリーア・プランディの経営者、ラッファエーレ・エスポジトが、1889年に、ナポリを訪れたマルゲリータ王妃のために考えだしたピッツァ、というのは有名な話。
その経緯は、店のhpでも紹介されています。
www.brandi.it
ラッファエーレは、国王夫妻のために3種類のピッツァを作りました。
それは、
オリーブオイル、チーズ、バジリコのピッツァ・ビアンカ、
シラスのピッツァ、
そしてモッツァレッラとトマトのピッツァ。
その中で、王妃がもっとも賞賛したのがモッツァレッラとトマトのピッツァ。
そこでラッファエーレは、そのピッツァに王妃の名前を付けた、という訳ですよね。
では、このマルゲリータ王妃、いったいどんな人だったのでしょう。
こんな人。
www.flickr.com
16歳と5か月の時に、イタリアの第2代国王ウンベルト1世と結婚し、翌年、後の第3代国王、ヴィットリオ・エマヌエーレ3世が生まれます。
ということは、この写真が撮られた時、王妃は20歳前ぐらい。
ピッツァ・マルゲリータが誕生したのは37歳の時。
実は、夫のウンベルト1世は1900年に暗殺されています。
ピッツァ・マルゲリータが誕生した1889年は、イタリアがエチオピアに侵攻した年。
帝国主義の時代でした。
国旗と同じ色のピッツァは、国策的にももってこいだったのかも知れません。
ちなみに、「イタリア料理」という概念を広めたアルトゥージの本が売れ出したのもこの頃。
国王の人気は低下の一途をたどったのですが、王妃マルゲリータは、国民に愛されていました。
1926年に亡くなって、ローマのパンテオンに葬られることになった時、その葬列に多くの人が加わって花を投げたのだそうです。
パンテオンのウンベルト1世とマルゲリータ王妃の墓
www.guardiadonorealpantheon.it
パンテオン, photo by Robert Catalano
シエナのパンフォルテ・マルゲリータも、王妃に捧げたもの。
www.flickr.com
ピッツァとその仲間の話、明日に続きます。
-------------------------------------------------------
関連誌;『サーレ&ペペ』2006年6月号(クレアパッソで販売中)
“ピッツァとその仲間”の日本語リチェッタは、「総合解説」'06&'07年6月号、P.7に載っています。
[creapasso.comへ戻る]
==============================================
2008年7月2日水曜日
登録:
コメントの投稿 (Atom)
ジェラートはパンとの相性も良いデセール。シチリアとナポリの人のジェラートの食べ方は、ほんとに自由。
今日は、(CIR)7月号のリチェッタから、ジェラートの話(P.12)。 リチェッタのテーマは、シンプルにコーンやカップに入れるジェラートではなく、クロスタータやボンボローニ、はてはフォカッチャにのせるジェラート。 ジェラートのデセールの最高峰はトルタ・ジェラート。 パン・ジェラー...
-
グラナ・パダーノの話、その2です。 イタリアで流通しているハードチーズの50%近くを占めるグラナ・パダーノ(AC Nielsen調べ)。 2008年の生産量は、435万5347個でした。 平均的な販売価格は11.05ユーロ/㎏。 イタリアの硬質チーズの平均価格は12.70ユーロな...
-
今日はブラザートの話。 『ラ・クチーナ・イタリアーナ』の記事の解説です。 バローロのブラザート, photo by Silvio 記事によると、 ブラザート brasato は、イタリア語で「炭」という意味の“ブラーチェ brace ”の古い呼び方、“ブラーザ brasa ”が...
-
今日のお題はプリーモピアット。今月の「 総合解説 」P.5の料理です。 スパゲッティなんですが、料理名がやたらカッコイイ。 “アサシンのスパゲッティspaghetti all'asssassina”だって。 初めて聞きました。 聞いたこともない料理だったのに、逆にnetに...
5 件のコメント:
料理と国策って一見なんの関わりもないような気がしますが、そうかも知れないとも思ったり。アルトゥージの料理本にはそんな匂いはない?『クオーレ』も同年代でしたっけ?
くるりさん
おー、クオーレの時代もそうでしたねえ。
マルゲリータがここまで国民的になったのは、国旗の色と同じ、ていうのが大きなポイントになったんじゃないかなあ。私、イタリアのピッツァの代表は、断然マリナーラだと思ってるんですが・・・。
でもやっぱり、マルゲリータはおいしいし、アルトゥージの本は面白いから今も人気なんですよね。
怒濤のコメント、すいません(^^;
ピッツァは食べ込んでないのでわかりませんが、今南か中部かで迷っているのでもしかしてまたナポリに行ったら今度しっかり味わってみます。しかしどこに行くか、調べる時間がない毎日です……
くるりさん
ナポリは最近行ってないので、お勧めのピッツェリーアが思い浮かばないよー。ダ・ミケーレのマリナーラの味も、忘れかけてるし。ポンペイ犬たちにまた会いたいなあ。
帰る日の電車に乗る前、連れにダ・ミケーレ行かせ、電車のなかで食べたので、熱々とまでいかなかったんですよ。だから感激が少ないのかもしれない(それでけんかになるしで^^;)。
コメントを投稿