2008年7月29日火曜日

ヴォンゴレ・ヴェラーチ

今日はアサリの話。
『ラ・クチーナ・イタリアーナ』の記事、“アルゼッレ”の解説です。

アルゼッレ arselle とは、アサリの別名。
記事で取り上げているのは、“マルチェッディのアルゼッレ”というブランドの、サルデーニャのアサリ。
マルチェッディは、アルボレーアという潟の端にある地区で、サルデーニャの西側、オリスターノ県にあります。


Marceddì


イタリア語でアサリは“ヴォンゴレ”ですが、細かく言うと、ただ“ヴォンゴレ”と呼ぶ場合と、“ヴォンゴレ・ヴェラーチ vongole veraci ”と呼ぶ場合があります。
たとえば、マルチェッディのアルゼッレは、ヴォンゴレ・ヴェラーチです。
そしてこの写真のスパゲッティ、タイトルは、「ヴォンゴレ・ヴェラーチのスパゲッティ」。


Spaghetti alle vongole veraci
ヴォンゴレ・ヴェラーチのスパゲッティ, photo by Raphaela


ヴォンゴレ・ヴェラーチって、なんでしょう。

答えは、簡単に言ってしまえば、国産アサリのこと。

ヴォンゴレ・ヴェラーチの学名は、Tapes decussatus 。
日本語だと、ヨーロッパアサリと言うようです。

イタリアでは、この国産アサリと、輸入アサリの2種類が流通しています。
輸入アサリの方は、別名、ヴォンゴレ・フィリッピーネ。
学名は、Tapes(Venerupis)philippinarum 。
日本での、いわゆるアサリ。
日本からフィリピンにかけて生息する種類のアサリだそうです。


かつてイタリアでは、アサリの大部分が北アフリカやトルコ、ギリシャからの輸入物でした。
それが、1983年にこのフィリッピーネの養殖を導入したことによって、国内のアサリの生産量が飛躍的に増えたんだそうです。

そんな功績のあるヴォンゴレ・フィリッピーネですが、イタリアでは、おいしいアサリと言えばヴォンゴレ・ヴェラーチ、というのが大方の意見。
だから、ヴォンゴレとヴォンゴレ・ヴェラーチという、2種類の名前が広まったわけですね。

ヴェラーチとフィリッピーネを見分けるポイントは、殻の色と水管の状態です。
まず、殻の色が濃いのがヴェラーチ。
そして、おもしろいのが水管。

ヴェラーチは、水管が根元から2つに分かれているんです。
なかなか衝撃的な姿。
www.sorrentoradio.com

日本のアサリは、こんな風。
mirabeau.cool.ne.jp

イタリアで活アサリを見たら、水管を要チェックですね。



-------------------------------------------------------

関連誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2006年7月号
“アルゼッレ”の記事の訳は「総合解説」'06&'07年7月号、P.7に載っています。


[creapasso.comへ戻る]

==============================================

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

うぉおおー、衝撃的な姿。
しかしヴォンゴレ・ヴェラーチってそういうことだったのかぁ。ありがとうございます。
貝は大好きなんですが、ファゾラーリ以外覚えられません(笑)材料のイタリア語覚えなきゃ。

prezzemolo さんのコメント...

くるりさん
なかなか衝撃的ですよねー。
このことを知って以来、スーパーでアサリを買う時はいつも不審者と化して、水管を観察しまくるようになっちゃいました。

ジェラートはパンとの相性も良いデセール。シチリアとナポリの人のジェラートの食べ方は、ほんとに自由。

今日は、(CIR)7月号のリチェッタから、ジェラートの話(P.12)。 リチェッタのテーマは、シンプルにコーンやカップに入れるジェラートではなく、クロスタータやボンボローニ、はてはフォカッチャにのせるジェラート。 ジェラートのデセールの最高峰はトルタ・ジェラート。 パン・ジェラー...