このトスカーナの豆料理は、アルトゥージの本にも載っています。
小鳥料理風いんげん豆 FAGIUOLI A GUISA D'UCCELLINI
フィレンツェのトラットリーアで、“いんげん豆の小鳥風”と呼んでいる料理です。 さやから出したいんげん豆を、まずゆでて水気を切ります。 浅鍋に油とセージ数枚を入れて火にかけ、油が熱くなったら豆を入れます。 塩、こしょうをし、鍋を揺すりながらソッフリットにしたら、シンプルなトマトソース少々をかけてなじませます。 乾燥豆の場合も、皮が薄い豆なら同様に調理できます。 この豆料理は、ゆで肉のコントルノにも向いていますよ。 |
この料理に使う豆は、カンネッリーニ cannellini 。
カンネッリーニ, photo by Emilie Hardman
イタリアでいんげん豆と言えば、うずら豆のボルロッティと、小粒の白いんげんのカンネッリーニが代表的。
ボルロッティ, photo by Ilja Klutman
イタリア語では、いんげん豆のことをファジョーリ fagioli と言いますよね。
フランス語では、アリコ haricots 。
全然違いますねえ。
なんと、このフランス語の“アリコ”というのは、メキシコのアステカ族の言葉が語源なんだそうです。
そう言えば、いんげん豆は新大陸からヨーロッパに伝わった食材でした。
モンテズマ朝では、いんげん豆のことを“アヤコトル ayacotl ”と呼んでいて、それがフランスでアリコになったとか。
では、“ファジョーリ”は何が語源かと言うと、ラテン語の“ファセオルス phaseolus ”なんだそうです。
ヨーロッパにも、古代ローマ時代から知られている豆がありました。
アフリカから伝わったささげの一種で、ファジョーリ・デル・オッキオ(黒目豆)と呼ばれています。
イタリア語のファジョーリは、元々はこの豆のことでした。
ところが、スペイン人がメキシコからいんげん豆を持ち帰ると、いんげん豆にすっかり勢力を奪われて、今や二軍落ちの身。
中央部分が黒い大豆のような豆がファジョーリ・デル・オッキオ, photo by Sara
ちなみに、黒目豆は、英語ではブラック・アイド・ピーズ(またはビーンズ)。
どこかで聞いたことあるような・・・
つまり、フランス語のアリコはアメリカ大陸から伝わった言葉で、イタリア語のファジョーリは、古代ローマから伝わった言葉だったんですねー。
アメリカ大陸から伝わったいんげん豆は、各地の気候風土に合うように改良され、今ではヨーロッパには約500種類のいんげん豆があるそうです。
カンネッリーニも、その中の一つ。
トスカーナを中心とするイタリア中部で改良されて、全国に広まりました。
アティーナ(ラツィオ)のカンネッリーニ
トスカーナには、白いんげんを使った名物料理が他にもありますよね。
次はその話です。
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