2008年7月2日水曜日

ピッツァとマルゲリータ王妃

今日は、“ピッツァとその仲間”の話。
『サーレ&ペペ』6月号の記事の解説です。


Brandi Pizza Margherita
ブランディのマルゲリータ, photo by Austin Keys


まずはピッツァの王様、マルゲリータ

これは、ナポリのピッツェリーア・プランディの経営者、ラッファエーレ・エスポジトが、1889年に、ナポリを訪れたマルゲリータ王妃のために考えだしたピッツァ、というのは有名な話。
その経緯は、店のhpでも紹介されています。
www.brandi.it

ラッファエーレは、国王夫妻のために3種類のピッツァを作りました。
それは、
オリーブオイル、チーズ、バジリコのピッツァ・ビアンカ、
シラスのピッツァ、
そしてモッツァレッラとトマトのピッツァ。
その中で、王妃がもっとも賞賛したのがモッツァレッラとトマトのピッツァ。
そこでラッファエーレは、そのピッツァに王妃の名前を付けた、という訳ですよね。

では、このマルゲリータ王妃、いったいどんな人だったのでしょう。

こんな人。
www.flickr.com

16歳と5か月の時に、イタリアの第2代国王ウンベルト1世と結婚し、翌年、後の第3代国王、ヴィットリオ・エマヌエーレ3世が生まれます。
ということは、この写真が撮られた時、王妃は20歳前ぐらい。
ピッツァ・マルゲリータが誕生したのは37歳の時。

実は、夫のウンベルト1世は1900年に暗殺されています。
ピッツァ・マルゲリータが誕生した1889年は、イタリアがエチオピアに侵攻した年。
帝国主義の時代でした。
国旗と同じ色のピッツァは、国策的にももってこいだったのかも知れません。
ちなみに、「イタリア料理」という概念を広めたアルトゥージの本が売れ出したのもこの頃。

国王の人気は低下の一途をたどったのですが、王妃マルゲリータは、国民に愛されていました。
1926年に亡くなって、ローマのパンテオンに葬られることになった時、その葬列に多くの人が加わって花を投げたのだそうです。

パンテオンのウンベルト1世とマルゲリータ王妃の墓
www.guardiadonorealpantheon.it


Pantheon - Exterior
パンテオン, photo by Robert Catalano


シエナのパンフォルテ・マルゲリータも、王妃に捧げたもの。
www.flickr.com


ピッツァとその仲間の話、明日に続きます。


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関連誌;『サーレ&ペペ』2006年6月号(クレアパッソで販売中)
“ピッツァとその仲間”の日本語リチェッタは、「総合解説」'06&'07年6月号、P.7に載っています。


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5 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

料理と国策って一見なんの関わりもないような気がしますが、そうかも知れないとも思ったり。アルトゥージの料理本にはそんな匂いはない?『クオーレ』も同年代でしたっけ?

prezzemolo さんのコメント...

くるりさん
おー、クオーレの時代もそうでしたねえ。
マルゲリータがここまで国民的になったのは、国旗の色と同じ、ていうのが大きなポイントになったんじゃないかなあ。私、イタリアのピッツァの代表は、断然マリナーラだと思ってるんですが・・・。
でもやっぱり、マルゲリータはおいしいし、アルトゥージの本は面白いから今も人気なんですよね。

匿名 さんのコメント...

怒濤のコメント、すいません(^^;
ピッツァは食べ込んでないのでわかりませんが、今南か中部かで迷っているのでもしかしてまたナポリに行ったら今度しっかり味わってみます。しかしどこに行くか、調べる時間がない毎日です……

prezzemolo さんのコメント...

くるりさん
ナポリは最近行ってないので、お勧めのピッツェリーアが思い浮かばないよー。ダ・ミケーレのマリナーラの味も、忘れかけてるし。ポンペイ犬たちにまた会いたいなあ。

匿名 さんのコメント...

帰る日の電車に乗る前、連れにダ・ミケーレ行かせ、電車のなかで食べたので、熱々とまでいかなかったんですよ。だから感激が少ないのかもしれない(それでけんかになるしで^^;)。

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