『サーレ&ペペ』に、白いんげんの小鳥風のリチェッタがあったので、今日はその話でも。
白いんげんの小鳥風, photo by Aldo Frullini
この豆料理は、トスカーナ、特にフィレンツェの伝統料理。
そして、この料理の名前を聞いた誰もが思うのが、「なぜ小鳥風?」
イタリアには、「小鳥」と名のつく有名な料理が、少なくとも3つありますよね。
1つは、ポレンタ・エ・オゼイ polenta e osei。
これはドルチェ版ポレンタ・エ・オゼイ, photo by mulaohu
オゼイとは、ロンバルディアやヴェネトの方言で、小鳥と言う意味。
本物の小鳥をローストしてポレンタにのせたポレンタ・エ・オゼイはこれ。
www.brembana.info
もう1つは、ウッチェッリ・スカッパーティ uccelli scappati 。
www.ricettemania.com
「逃げた小鳥」という意味の名前で、小鳥の代わりに豚肉や子牛肉を小鳥に見立てた料理。
そして3つめが、この白いんげんの小鳥風 cannellini all'uccelletto 。
いんげん豆の小鳥風 fagioli all'uccelletto とも言いますよね。
こちらはサルシッチャ入り白いんげんの小鳥風。
www.cookaround.com
さーて、この豆料理が、どうして小鳥風なんでしょうか。
小鳥のようだから?
真っ先に頭に浮かぶのがこの説だけど、白いんげんを小鳥のようだ!と言い切るのには、無理がある。
では、なぜ小鳥か。
この疑問は、この料理を食べた人みんなが抱くことですが、中でも、フィレンツェの人たちは子供のころからこの料理を食べている訳で、すでに幼少時に一度は、なぜ小鳥?と思っているんですねー。
そんな時、お母さんが何と教えてくれるか。
その内容によっては、この料理に対する思い出は、ずいぶん楽しいものになるようです。
ある人が、ブログに書いていました。
子供の頃、ご多分にもれず、私も豆は嫌いだった。
そんな私に祖母が作ったのが、いんげん豆の小鳥風だ。
子供の私は、これもご多分にもれず、好奇心から祖母にきいた。
「なんで小鳥風って言うの?」
「実はね、おばあちゃんが、豆にちょっと魔法をかけたんだよ。
ジャックと豆の木ってお話、知ってるでしょ。
豆には魔法の力があるんだよー」
「えー、おばあちゃん、どんな魔法をかけたの?」
「それはね・・・、空を飛べるようになる魔法だよ」
「食べたら空を飛べるの?!」
「そうだよー。
でも、飛ぶには、おじいちゃんみたいにたくさん食べないといけないんだよ」
「うそだあ」
「じゃあ、おばあちゃんが食べて見せようか。
ほーら、ほら。
まあ一口だけじゃ量が少ないから、高くは飛べないけどね」
このおばあちゃんの策略は見事に成功したようです。
なにしろ孫はその後、ブログで白いんげんの小鳥風のリチェッタを、世界に公開するまでになったんですからねえ。
そのブログはこちら。
diariodicucina.myblog.it
白いんげんの小鳥風は、食べると飛べるようになる料理だった。
かわいいですねえ。
でも、一般的に言われているのは、こんなに面白くないごーく普通の説。
小鳥料理とよく似た調理方法だから、小鳥風。
小鳥風の話、明日に続きます。
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関連誌;『サーレ&ペペ』2006年6月号(クレアパッソで販売中)
“白いんげんの小鳥風”のリチェッタは、「リチェッタ日本語訳/サーレ&ペペ」P.9に載っています。
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2008年7月22日火曜日
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