今時のイタリアの地方の多様性や南北の分断が、あまりにも面白くて、かなり横道に逸れてしまいました。結果的にはひと昔前には、このテーマでいじられるのは圧倒的にナポリ人にピッツァでしたが、今は断然、寿司なのだと分かったのでした。寿司は今や異文化の象徴。寿司を食べることは異文化を理解して受容していくことを意味しています。
今日のお題は(CIR5月号P.38、“スパゲッティ・アッラ・ボロニェーゼ”)です。外国の食にはかなり否定的だったイタリアで、その象徴的だった料理、“スパゲッティ・アッラ・ボロニェーゼ”。この料理は、いわばこの時代の寿司だったのです。この料理の名前がイタリアの新聞“ラ・スタンパ”に初めて登場したのは、1898年4月22日の記事でした。ホテル・ヴィル・エ・ボローニャHotel Ville et Bologneのメニューに、“ナポリのスパゲッティのボローニャ風Spaghetti di Napoli alla bolognese”という名前が登場した、ということが新聞のニュースになっちゃうんですね。
ラ・スタンパと言うのは、イタリアでもっとも影響力があり、発行部数が多い新聞で、トリノにある。
トリノのラ・スタンパ。
つまり、この事実は、この料理がトリノ、ナポリ、ボローニャという三角形を形成したことを物語っています。
下の動画ではスパゲッティ・アッラ・ボロニェーゼを作ると言いながら、スパゲッティ・アッラ・ボロニェーゼは存在しない、と言っています。
この料理の存在を公式にしたのがトリノの日刊紙だったというのが重要。
トリノは、イタリア統一という概念が生まれて達成された地。
イタリア統一までの物語を語る南部人。南北の分断は根深い問題だったんだなあ。
トリノという地は、イタリアにとってはイタリア統一に直結した場所なのでした。
そしてこの料理が創り出した三角形は、ボローニャとナポリというイタリア料理の中心地2つを、これが、イタリア統一の象徴の地、トリノで一つに結びつけられたのです。
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