(CIR5月号)の《スパゲッティ・アッラ・ボロニェーゼ》の記事は、スパゲッティ・ボロニェーゼは、ボローニャとナポリというイタリアの2大食の中心地が、トリノで結びついたイタリアの統一を象徴する料理だった、という超ビックリな説でした。『クチーナ・イタリアーナ』というイタリアを代表する料理雑誌の大胆で緻密な記事でした。
イタリア人の執念、すごい。イタリアの新聞に最初にスパゲッティ・ボロニェーゼが登場した日と場所を特定しちゃったのです。曖昧さを許さない合理的な欧米の考え方を実感しますが、これだけじゃないんです。
彼らはさらに、アメリカの新聞にスパゲッティ・ボロニェーゼが初めて登場した日まで特定しちゃいました。
それは1925年のことでした。ロサンゼルス・タイムズのその記事は、ヨーロッパでは、フランスなどで30~40年代にこの名前の料理が見られる、と書かれています。
そして、第2次大戦後、アメリカのマーケティング企業が、緑、赤、白のとてもイタリア的な料理とソースの缶詰を売り出した、とあります。
さらに今月の記事の中で最も印象的な言葉が続きました。
「これはベネチアのゴンドラやピサの斜塔、コロッセオのようなイタリアの象徴になった。」
お、面白い。スパゲッティ・ミートソースが、ゴンドラやピサの斜塔、コロッセオに匹敵するイタリア料理のポップな象徴だと言うのです。ただしボローニャを思い出すものは何もないんだって。
結局、アメリカのマーケティングに世界中がのっちゃった訳ですね。ミートソースの缶詰を、ゴンドラやコロッセオに等しいイタリアの象徴にしちゃうという力には脱帽です。
缶詰のミートソースに対するイタリア人シェフの反応。
言いたい放題、ボロクソに言ってます。
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