イタリア料理は、いわば伝統の丈夫なストッキングに脚をねじ込んだ状態でした。
そのストッキングが破れると、脚はあっという間に解放されて自由になり、軽やかに舞い始めました。伝統の縛りから解放された料理人は、自由を謳歌し、個人の感性を料理に反映させ、その料理はあんなに憧れたフランスにも認められるようになりました。料理人の才能が評価されるようになると、パスタの地位も上がりました。庶民のお腹を一杯にする食べ物が、上流階級のテーブルに上る価値がある食べ物として承認されるようになり、パスタは、肉や魚や野菜と同等の大切な食材として扱われるようになりました。
映画『貧困と貴族』の有名なシーンでは、手づかみでパスタを食べるイタリアの喜劇俳優、トト。
次の映画は『ローマのアメリカ人』。庶民がパスタを食べるってこんなイメージでした。
料理人の次に変わったのは、パスタメーカーでした。パスタは小麦を原料とした農作物という意識が生まれ、よりおいしいパスタを作るためにはどうしたらいいのか、メーカーたちは研究を始めました。料理人たちは、パスタをもっと美味しくするためにはどんなソースが必要なのかを追求するようになります。
何度も紹介していますが、フェリーニ監督のバリラの傑作CM、『上流階級』。フランス料理をおちょくった、時代をかなり先取りしたCM。
こちらは現代のブイトーニのCM。パスタのCMに母親が登場しない。“家族”の姿も多様性の時代。
かつては皆で食べるスパゲッティが家庭料理の象徴でした。
今や、スパゲッティをミケランジェロの傑作にたとえても、みんな納得する。
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