連休前は、シチリア西部のワインの記事から、(CIR/P.36~)タコのサラダに合うワインを紹介していました。ちなみにこの記事で取り上げた料理は、
・タコのサラダ、
・なすのインボッティ―テ
・マグロのラグー・イン・ビアンコのスパゲッティと、シチリアの庶民的な料理をピックアップしています。
タコのサラダは海の幸と畑の幸の組み合わせ。魚と野菜に合うワインが求められます。
相性の良いワインとして選ばれた1本目は、“ドンナフガータのダマリーノ”でした。
ドンナフガータと言えば、『山猫』です。
この映画は、シチリアの貴族の血筋の作家ランぺドゥーサが、シチリアの貴族の落日を描いた傑作小説で、ミラノの貴族の血筋のルキノ・ビスコンティ監督が映画化した芸術的傑作として実写化されています。
この映画を観たことのある人なら、ドンナフガータという名前は、忘れることができないものとして記憶に刻まれているはず。
バート・ランカスター演じるサリーナ侯爵が、アラン・ドロン演じるタンクレディなど一族を連れてガリバルディの赤シャツ隊から逃れるために、パレルモからドンナフガータに逃れます。市長の娘、Z世代的なクラウディア・カルディナーレとアラン・ドロンが恋に落ちます。ブルボン家がシチリアから撤退し、若者たちと新興階級による新しい時代の始まりを、芸術的に、品格高く描いた映画でした。まるで、何考えているのか全然理解できないギャルと科目で頑固な昭和の男の世代交代。
ワインの造り手としてのドンナフガータは、シチリア西部の歴史のあるカンティーナ。マルサラのメーカーとしてスタートしました。やがてネロ・ダーヴォラ、カタッラット、アンソニカと言った当時は知られていなかったぶどうの栽培を始めます。さらにカベルネ、シラー、メルローのようなインターナショナルな品種も栽培し、シチリアワインの評価を高めるカンティーナの一つとなりました。ドンナフガータはワインのラベルにシチリアの風土を描いた独特のデザインを採用しているのも特徴です。
ドンナフガータ。
『山猫』で、サリーナ侯爵一家がパレルモからドンナフガータにやってくるシーン。
貴族が没落していく激動の時代を描いているのにすごく高貴。緊張に満ちたコルレオーネ村とはまた違った、でもどこまでもイタリア的な空気が流れてます。
さて、タコのサラダと相性の良いワインとして選んだワインの一つが、ドンナフガータのインゾリア、別名アンソニカ種のワイン、“ダマリーノdamarino”でした。
さらに、“グリッロ・ディ・モツィア・ディ・タスカ・ダルメリータ”も選んでいます。
タスカ・ダルメリータもシチリアを代表するカンティーナ。グリッロ・ディ・モツィアは塩田やカルタゴの遺跡で知られるモツィア島にある畑のぶどうから造ったデリケートな白。
モツィア。
『山猫』のクラウディア・カルディナーレは、ほんとにきれいでした。
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