イタリア料理研究の大家、パオロ・ペトロー二氏によると、ラグーは、ナポリの門番のラグーragù del guardaportra、ボロニェーゼ、鴨のラグーなどラグー・イン・ビアンコragù in biancoがある、ということを知りました。次は内臓のラグーragù di rigalieです。
鴨は鶏の代用品でもあったので、鶏の内蔵、というときは、鴨の内蔵でもあります。
さらに、下の動画ではトマト入りですが、ペトロー二さんの本『スパゲッティ・アモーレ・ミオ』
によると、トマトは好みで加えても加えなくてもよいそうです。つまり、イン・ビアンコもあり。つまりこれは鴨のラグーの一種とも言えます。さらに、内蔵というのはもっとも安い部位なので、肉をたっぷり使うボロニェーゼやナポレターノより、もっと庶民的で現実的なラグー。つまり、ラグーの原点なのでは、と感じます。
元々、ジビエや家禽の内蔵は、貴族は食べないので貴族から庶民に与えられたものでした。そもそも煮込みは固くて食べられない肉を柔らかくするための調理方法でしたから、内臓のラグーをパスタソースにすることは難なく思いつきます。
鶏の内臓のラグーのフェットゥチーネ。
次は、内臓のラグーとは正反対のラグー、プーリアのラグー・バレーゼです。
プーリアのブラチョーレのラグー。
内蔵とは正反対の、質素な肉を美味しく食べたいという庶民のアイデアが詰まった料理です。
動画ではプーリアではかなり普及している馬肉で作っています。
さらにプーリアはトマトもオリーブも小麦もよく育ち、農民、漁師、羊飼い、主婦たちはみんな働き者で、トマトの保存食や独特のパスタ作りが親から子へと伝わっていきました。
必要に応じて作られてたプーリアのソースは、質素でクリエイティブ。これは南イタリアの料理の特徴でもあります。
ラグー・バレーゼragù barese。
材料/
馬肉の薄切り肉・・1㎏
にんにくのみじん切り・・2かけ
イタリアンパセリ・・1束
おろしたペコリーノ・・100g
玉ねぎ・・2個
トマトのバッサ―タ・・2ℓ
トマトペースト・・大さじ2
赤ワイン・・250ml
塩、こしょう
・馬肉のブラチョーレbraciole(インボルティーニ)を作る。詰め物はペコリーノ、にんにく、イタリアンパセリ、塩、こしょう。
・浅鍋に油、玉ねぎの薄切り、インボルティーニを入れて焼き、表面に焼き色を付けたら焦がさないようにソッフリットにする。
・ワインをかけてアルコール分を飛ばす。
・肉に焼き色がついたらトマトと溶いたトマトペースト、塩を加え、蓋をずらしてのせて弱火で最低3時間煮る。
馬肉はコレステロールやカロリーが少なく鉄分が多いので、若者やアスリートにお勧めの肉。オレッキエッテやカバテッリと言ったプーリアのパスタはソースがよくからむように考えられた形。
プーリアでは、肉のラグーの代わりにキノコのラグーが創り出された。プーリアのきのこと言えば、カルドンチェッリと呼ばれるエリンギ。
カルドンチェッリのラグーのパスタ。
リチェッタは次回に。
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