2023年2月11日土曜日

キアンティ・クラッシコをモダンにしたリカゾリ。キアンティ・クラッシコをモダンにしてキアンティ・クラッシコから独立したビオンディ・サンティ。

モンタルチーノの話ですが、ハイレベルのイタリアのワインと食文化の料理月刊誌『クチーナ・エ・ヴイー二』誌の昔の記事に、モンタルチーノに関するとても興味深い記事が載り、その当時は「総合解説」と呼んでいた旧(CIR)にその記事の日本語訳を載せていました。それを読んでみたところ、とても興味深い内容だったので、前回は部分的に引用しました。
今日はその続きです。
前回は、一昔前のイタリアワインの象徴、モダン・キアンティの父ことベッティ―ノ・リカゾリ男爵が作った伝統をフランコ・ビオンディ・サンティが打ち破った、というところまででした。

カンティーナ・パローネ・リカゾリ。

リカソリは、数種類のブドウを混ぜる“ゴベルノ”と言う製法を考え出し、15世紀以降、トスカーナではワインを安定させるための方法としてこの方法が普及した。
発酵がほぼ終了した時点で干したブドウを加えて再び酵母を活発にさせ、残りの糖分をすべて消費させるという方法だ。これは現在のブルネッロとは遠くかけ離れたワインだった。
ビオンディ・サンティは数種類のぶどうを混ぜるという伝統を変えて、サンジョベーゼ100%のワインを造った。さらに樽で寝かせる期間を最低4年にのばしてコベルノのシステムを取り除いた。
 長期間寝かせることによって減ったワインを同じビンテージのワインを加えることによって満たす規定を定めたのはタンクレディ・ビオンディ・サンティ。1927年のことだった。
こうしてトスカーナのワインの主流はリカゾリ家からビオンディ・サンティ家へと移っていった。
下の動画に登場するのはタンクレディ・ビオンディ・サンティ。

ビオンディ・サンティ家にはタンクレディという名が何世代かに度々見られる。まるで貴族のような品格のある一族。

1392年、イタリア農林省は、ブルネッロはフェッルッチョ・ビオンディ・サンティが造った新しいワインとしてキアンティ地区と区別することを決めた。
しかし、ブルネッロの独立はすでに1800年代に始まっていた。
グレッポのカンティーナに保管されている2本のブルネッロがそれを証明している。

フェッルッチョはブルネッロの最初のクローンを選び出してワインのブルネッロ誕生の基礎を造った人物。

こうしてみると、トスカーナのワインは時代の流れにしっかり沿っている。トスカーナ料理の変化も、それに組み合わせるワインの造り手は敏感に感じ取っている。

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの新しい造り手として『クチーナ・エ・ヴィーニ』誌が注目したのはシーロ・パチェンティ。

モンタルチーノの北の端の丘にあるカンティーナ・シーロ・パチェンティの経営者は、シーロの息子のジャンカルロ。父親はワインはすべてブレンド用にまとめて売っていたが、ジャンカルロはワインを瓶に詰めるように強く勧めた。
 彼は祖父からモンタルチーノの南部にあった畑を受け継ぎ、モンタルチーノの土壌やサンジョベーゼ、ボルドーワインについて研究し、2つの畑のワインをブレンドすることを選び、自分が考える偉大なモンタルチーノ、つまり土地とワインの究極の結びつきを現したワインを造り出した。
 北部のアロマと優雅さ、南部の力強さとしっかりした組織、この2つを組み合わせてこそ、普遍的なモンタルチーノができる、というのがジャンカルロの考えだった。
 2006年のビンテージでも、2つの畑のワインはまったく違うものになった。ただ、どちらも純粋なモンタルチーノのDNAはしっかり持っているので、2つを組み合わせると、モンタルチーノとすぐに分かるワインができた。それだけでなく、パチェンティのモンタルチーノだということもよくわかる。彼が雑誌に取り上げられたのは2006年のこと。それが2009年のビンテージはワイン・オブ・ジ・イヤーを受賞している。
下の動画に登場しているのはジャンカルロ・パチェンティ。

そうそう、彼は気候条件が悪かった1992年と2002年はブルネッロの製造はやめてすべてロッソ・ディ・モンタルチーノにしたそうです。
ロッソはブルネッロの1/3の値段ですが、幅広い料理と組み合わせることができて地元のレストランでも欠かせない、十分に優れたワインだそうですよ。

私には丘の上のぶどう畑を残してくれるようなおじいちゃんはいないけど、もしいたらワイン造りたくなる話だなあ。


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イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
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