2023年2月13日月曜日

冷蔵庫とティラミスが広めたチーズ、マスカルポーネ。本物はアルティジャナーレな製品。

今日のお題は、(CIR)2021年1月号から、マスカルポーネです。(p.30)

最近ではマスカルポーネとティラミスの結びつきがますます強固になって、ティラミスに使うチーズ、というイメージができあがった。というか、他にマスカルポーネの料理でここまでヒットしたものが知られていないので、イタリアでもマスカルポーネといえばティラミスに使うチーズ、ということになっているようです。
このチーズは、ルーツがはっきりわからないほど古いチーズですが、語源はおそらく、ロンバルディアのローディーの方言でリコッタという意味のマスケルパmascherpa。
私がこれまでに訳したマスカルポーネに関する記事の中で、いまだに覚えている印象深い文章は、マスカルポーネはチーズの風味がしないチーズ、という言葉。
そして今回は、“本物のマスカルポーネはアルティジャナーレな製品”、という言葉。
マスカルポーネはミラノのチーズというイメージがあり、工場で大量生産される都会の量産型チーズだと思っていたので、これは軽い衝撃でした。アルティジャナーレのマスカルポーネなんて食べたこともないけど、どんな味なのかなあ。アルティジャナーレのマスカルポーネでティラミス作っている人、いるんでしょうか。
マスカルポーネは昔は、小さな作り手が羊皮紙のパックに入れて売るチーズで、大事なのは原料の品質なのだそうですよ。工場で使うのは、粉末の牛乳だと思うじゃないですか。

ローディーのワインと料理。

アルティジャナーレなローディーのメーカーのマスカルポーネ。

マスカルポーネの原料は、地元産の新鮮な牛乳を遠心分離した脂肪分の高い生クリーム。
マスカルポーネは凝乳酵素(カード)を使わず、熱した生クリームにクエン酸を加えて固め、これをリネンにのせて18時間吊るして自然に乳清を切ったもの。50ℓの生クリームから50㎏のマスカルポーネができる。牛乳じゃなくて生クリームから造るチーズでした。
マスカルポーネは寒くて保存が容易になる冬の間だけ造るチーズ。ミラノの冬と言えば、クリスマスのパネットーネ。このパネットーネにもマスカルポーネのクリームは欠かせないのでした。
クチーナ・ミラネーゼ

にはマスカルポーネのソースのパスタのリチェッタもありました。
この本はとても面白い本で、イラストを多用しているので楽しく読むことができます。
でも、いつもちょっとつっこみたくなるのが、マスカルポーネを始めとするミラノの名物チーズをイラストで表現していること。
マスカルポーネ、ゴルゴンゾーラ、クレシェンツァをイラストで描いてくれと無茶ぶりされたイラスストレーターは、どんな気持ちだったのでしょう。どれも基本は白いクリームですから。

パネットーネ用のマスカルポーネ・クリーム。

材料/
室温にしたマスカルポーネ・・500g
砂糖・・125g
室温の卵黄・・4個
水・・50ml

・砂糖と水を121℃に熱してシロップにする。
・卵黄をホイップしてシロップに加える。ホイップして冷まし、マスカルポーネを少しずつ加えてさらにホイップする。

ローディーでは卵、砂糖、ラム酒を加えるのが伝統的。

マスカルポーネとマッシュルームのクリームパスタ。

そもそもマスカルポーネは生クリームから造るチーズということは、熱すると溶けて生クリームのソースになる。この料理のポイントはセージバターという定番の味付け。セージの代わりにラベンダーを作うなどのアレンジが可。

=====================================
イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
[creapasso.comへ戻る]
===================================

0 件のコメント:

コウイカは墨だけじゃなく、ラッテ(卵)もある。

コウイカの卵について、全然知らなかったのですが、調べていくうちに、とても興味深いものだということが分かってきました。コウイカseppiaはアドリア海の産物でベネチアの名物。 という訳で、ベネチア料理のお薦め本、『 クチーナ・ディ・ベネチア・エ・ラグーナ 』 を見てみました。すると...