2023年2月3日金曜日

トマトソースはイタリア料理のベースのソースであるだけでなく、あらゆるナポリ料理のベースでもある。

今日のお題はトマトソースsalsa di pomodoroです。
トマトはヨーロッパの料理に革命をもたらした食材。
トマトソースの主役は、缶詰など保存用加工に適した完熟したサンマルツァーノトマトです。
栽培の中心地はアグロ・サルネーゼ・ノチェリーノですが、徐々に広がり、今ではサレルノ、アベッリーノ、ナポリの各県、とみるのが一般的。
このソースはトマトがすべてなので、この地区のサン・マルツァーノを使ったソースにはかないません。
ですが、この地方のソースだということをもっとわかりやすく伝えるソースの名前もあります。
それは、“サルサ・ディ・プマローラsalsa di pummarola”。
ポモドーロ(サンマルツァーノ)をナポリなまりにすると、サンマルツァーノのナポリのソース感がぐんと強まります。

プマローラのパスタ。

材料/2人分
上質のパスタ(ベルミチェッリ、ほぼスパゲッティ)・・150g
フレッシュのトマト(動画で使っているのはイスキアの友人が栽培したもの)・・12個
にんにく・・2かけ
イスキアの畑のバジリコ

・トマトに十文字の切込みを入れ、軽く塩を加えた熱湯で3分ゆでる。取り出して冷まし、皮をむく。底を切って種を取り、薄切りにする(フィレッティ・ディ・ポモドーロfiletti di pomodoro)。作業の間に出た汁をかける。
・パスタ用の湯を沸かす。
・フライパンに油大さじ3と半分に切ったにんにくを熱し、焼き色がついたらトマトのフィレッティを加える。
・パスタをゆでる。
・にんにくを取り除き、バジリコを加える。ゆで上がったパスタとゆで汁大さじ数杯を加えて混ぜる。おろしたグラナ、ペコリーノ、プロポローネ・デル・モナコを加えてもよい。
・フィレッティ・ディ・ポモドーロはパッサータとは違う、と言ってます。

ただナポリなまりにすればいいだけではなく、その背景に、超強烈なトマト愛が必要です。
トマトをポマローラと呼ぶ人は、ナポリのトマトが大好き、と叫んでいるようなもの。
トマトソースのリチェッタは、1839年に料理人で文学者でナポリ人のイッポリト・カバルカンティIppolito Cavalcantiが、ナポリの言葉でトマトソースの大雑把な使い方を初めて書き記しています。ただ、みんな知っているからと、あまり詳しいことは書かれていなかったそうです。この本は、今ではナポリ料理の聖書と言われています。

こうしてトマトソースはあらゆるナポリ料理のベースになりました。
ナポリ料理の開祖とみなされているカバルカンティは高い教育を受けた貴族、ブオンビチーノ公。
ブオンビチーノ。

ナポリなまりのパスタソース
ミニトマトのパスタ・シュエ・シュエ。ナポリの言葉でちゃちゃっとできるパスタというような意味。


食糧難の時代のスパゲッティ・アッラ・プヴェリエッロSpaghetti alla Puveriello。


グイド・トンマージの『クチーナ・ディ・ナポリ

にはナポリ生まれのパスタがたくさん載ってます。

ナポリのスペイン人地区の靴屋で生まれたパスタ。スカルパリエッロScarpariello。客が現金の代わりにチーズで代金を払うので生まれた。

プッタネスカはローマとナポリで元祖争いが起きているパスタ。ナポリ派の根拠はアンチョビ。

プッタネスカまでくると、次はシーフードのパスタかなあ。


=====================================
イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
[creapasso.comへ戻る]
===================================

0 件のコメント:

シチリア出身のシェフがミラノで出した店は、その名もイカの卵。イカの卵はベネチアのチケッティの珍品中の珍品でした。

ゴールデンウイークにイタリアに行く人たち、いいなあ、なんて思いながら、情報だけはどんどん入ってくるので、今年もせめて動画でバーチャルツアーしましょうか。 今年はミラノガイドのカリスマが、新しい本を出したので、その中からミラノのお店をいくつかどうぞ。 まずは老舗のパスティッチェリー...