2021年7月4日日曜日

ラザーニャはパスタ・フレスカの母。なぜボローニャのラザーニャは特別なのか、その理由は牛肉。

さて、ヴィンチスグラッシです。
アドリア海の漁師料理、魚のスープのブロデットがおいしいマルケで、ドイツ語のような名前のラザーニャを注文しようと思う人は、かなりのマルケ上級者ですが、イタリアの地方料理の世界では、マルケで一番有名な料理とか、伝統的な日曜日のご馳走扱いと高評価の料理です。
ヴィンチスグラッシはラザーニャの一種ですが、ボローニャのラザーニャとは違う、というのがマルケの人のこだわりです。下の動画は、エミリア地方のクラテッロのカンティーナで知られるミュラン星付きの高級ホテル・レストラン、アンティカ・コルテ・パッラヴィチーナのラザーニャ↓言い換えれば本場のラザーニャです。見たこともない太いサルシッチャをラグーに使ってますねー。


ボローニャのラザーニャとヴィンチスグラッシの一番の違いはラグーだそうです。
そもそもラグーはラザーニャの中心。下の動画では、リチェッタはとてもシンプル、と説明しています。実際、ごくシンプルなミートソースにも見えます。ラグーもベシャメルもパスタもとてもシンプル。でも、ラザーニャ自体はとても難しい料理、だそうです。
ちなみにパスタのラザーニャはすべてのパスタ・フレスカの母と言われています。
by スローフードの地方料理のパスタの集大成、パスタ・フォルメ・デル・グラノより。

それではヴィンチスグラッシの作り方を見てみます。
リチェッタは、この料理がマルケで一番有名な料理と自らの本に書いているイタリアの新世代を代表するシェフ、ダヴィデ・オルダーニシェフの本、メイド・イン・イタリー
から訳してみます。
《パスタ》
00番の小麦粉・・500g
卵・・5個
EVオリーブオイル
・パスタを作る。小麦粉と卵をこねて油を加え、なめらかな生地にする。
・薄く伸ばして7cm角に切り、ゆでて布巾に広げて乾かす。

《ラグー》
ヴィテッローネの挽肉・・250g
鶏レバー・・100g
乾燥ポルチーニ・・20g
EVオリーブオイル・・大さじ2
生ハム・・50g
玉ねぎ・・1個
にんじん・・1本
セロリ・・1本
トマトのパッサータ・・200ml
赤ワイン・・1カップ
00番の小麦粉・・大さじ1
トリュフ・・1個
マジョラム、ナツメグ
塩、こしょう
・鍋に油を熱し、玉ねぎ、にんじん、セロリ、マジョラムをソッフリットにする。挽肉と細かく刻んだ生ハムを加えて炒め、小麦粉を加えて2分炒める。ワインをかけてアルコール分を飛ばし、塩、こしょう、ナツメグを加える。トマト、レバー、ぬるま湯で戻したポルチーニも加えて弱火で煮る。仕上げにトリュフの薄切りを加える。

《仕上げ》
ベシャメル・・500ml
バター・・50g
パルミジャーノ・・150g
・オーブン皿にバターを塗り、パスタを1段敷いてラグー、べシャメルと重ねてパルミジャーノを散らす。これを材料がなくなるまで繰り返し、最後はパルミジャーノとバターの小片を散らす。200℃のオーブンで20分焼いて表面をグラティナーレする。

どちらもラグーには地元の食材のご馳走を使うのですが、ボローニャは圧倒的に牛、マルケは鶏など小さな家禽類ですなー。七面鳥肉を入れるリチェッタもあるそうです。
あのサルシッチャもそうですが、おそらく、牛肉などの肉類のコビージャスさや美味しさが、ボローニャのラザーニャの秘密なんだですね。
とは言え、今月の日本語解説(CIR)P.27によると、マルケは牛肉も有名になりつつあるんだそうですよ。


上の動画で料理を作っているシェフは、ヴィンチスグラッシは農民の質素な料理と説明しています。肉も鳥の内臓や各種のミックスです。
そもそも農民料理には牛肉や豚肉をふんだんに使うという選択肢はない。
もし入っていると、日曜日やクリスマスのご馳走レベルになっちゃう。
やっぱりボローニャではラザーニャ食べておかないとなあ。
その前にヴィンチスグラッシ食べておくと違いがよく分かるかも。
次回はマルケの牛肉の話でも。

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「総合解説」新日本語解説(CIR)
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