2021年7月3日土曜日

マルケで一番有名な料理はヴィンチスグラッシだ主張するオルダーニシェフは相当の負けず嫌いと見た。

マルケのことは、正直言って、情報がブロデットどまりなので、イタリア料理界をリードする新世代シェフ、ダヴィデ・オルダーニシェフが料理を担当した野心的なイタリア地方料理書、「メイド・イン・イタリー
のマルケのページを読んでみました。
最近、この種のイタリアの地方料理が1冊に収まった本がめっきり減りました。
地元愛が強いシェフは大勢いるのですが、イタリア料理を地方料理の集合体と捉えてイタリア料理の本を出すまでの知識を集めるのは、かなり大変なことのよう。

以前は、カルロ・クラッコシェフが面白い本を何冊か出していた。
お勧めは、「カルロ・クラッコの地方料理

地方料理に造詣が深い、というのはマルケージチルドレンたちの特徴。
マルケージが見出したクラッコの才能は、オルダーニへと受け継がれたよう。

ところで、オルダーニシェフは、『メイド・イン・イタリー』で、長い海岸線があるマルケの料理は、ブロデットだけじゃない、と書いています。
うさぎ料理など、内陸の伝統料理も忘れてはならないとし、
一番有名なマルケ料理は、ヴィンチスグラッシVincisgrassiだと宣言し、この料理の背景に、オーストリアの将軍で貴族のヴィンディシュ=グレーツ家がいて、彼の名がこの料理の語源だと説明しています。
敢えてブロデットを避けるなんて、オルダーニシェフは相当の負けず嫌いで、人と同じことをするのを嫌がる人なんですね。

ヴィンチスグラッシの解説には、マルケの日曜日のプリーモで、マルケの各家庭では、女性たちが代々受け継いできたリチェッタでこの料理を作る。18世紀に出版された料理書にもリチェッタが書かれている。とある。かなり広く研究しているようです。

バリラのCMではフェデラーと共演したオルダーニシェフ。どちらも一斉を風靡していましたねえ。
うさぎのポルケッタ↓はマルケの代表的な料理の1つですが、近隣のエミリア・ロマーニャやウンブリアの料理としても知られています。

ヴィンチスグラッシはラザーニャみたいな料理だと言うと、すかさず、ボローニャのラザーニャとは違うと反論される料理。どうやらラグーが違うらしい。発祥地はマルケとロマーニャ地方にまたがるモンテフェルトロ。
この肖像画と鼻で知られるルネサンスの名君、フェデリコ・ダ・モンテフェルトロの公国でした。

北にも南にも属さないマルケの食文化は、かなり個性的。イタリア料理に対する固定概念を一度リセットするといいかも。


------------------------------------------------------- 
[creapasso.comへ戻る]
お問い合わせ
=====================================


0 件のコメント:

よもぎはドイツ語ではベアムート。かっこよくてお餅につける名前じゃないよね。トリノでパティシエが白ワインとよもぎから作りだしたのがベルモット。

今日のお題は、メイド・イン・イタリーの食材です。(CIR2022年1月号P.37の記事) その食材は、ベルモット。ピエモンテ州トリノで誕生したフレーバード・ワインです。 白ワインにスパイスとハーブを加えて香りをつけたもの。 ところで、ベルモットはドイツ語の“ヨモギWermut”が...