2020年7月16日木曜日

パスタの設計図はスーパーカーなみ、メチャかっこいい。今日のリチェッタは、プーリアの揚げパスタ、チチェリ・エ・トリア

今日は今月の「総合解説」から揚げパスタの話。
揚げパスタは、イタリアではとても珍しい料理です。
パスタに対する取り組みが画期的ですごい本、
パスタ・レボリューション』によると、そもそもパスタは、最初はゆでるんじゃなくて揚げていたんだそうです。でも、その後広まらなかったことを見ると、やっぱりゆでる方が美味しかったのか。
パスタの歴史は発明の歴史で、乾かして長期保存可能にした麺を戻す方法として、普通に考えつきそうなゆでるという作業も、誰もやったことのないことを思いつくというのは、柔軟な発想と奔放な想像力が必要な革命だったのでした。
パスタを揚げる料理というのは、長年イタリア料理を訳していても、地方料理で思い浮かぶのはただ1品だけ。純粋に揚げるのではなく、手打ちパスタの一部だけを揚げて、生麺と一緒に混ぜる料理です。
お味噌汁に油麩が入ってるイメージかも。
その料理はプーリアのチチェリ・エ・トリア。

チチェリ・エ・トリアCiceri e tria
・セモリナ粉500g、ぬるま湯80ml、塩少々をこねてまとめ、ラップで覆って10分休ませる。
・薄く伸ばしてフェットチーネにカットする。
・半量をピーナッツ油できつね色に揚げる。
・残りのパスタをゆでる。
・ゆでたひよこ豆(チチェリ)とパスタ、(揚げたパスタ、トリアも)を混ぜる。好みで唐辛子を加えてもよい。
 
今月の「総合解説」の“モッッァレラ・ファミリー”の記事には、数年に一度しかない、揚げパスタのリチェッタが紹介されていました。
“モッッァレラとリコッタ詰めパッケリのフリット”です。
リチェッタはP.28
パッケリはチーズを詰めると俵型になって、揚げるのにピッタリの形じゃないですか。
しかもパン粉がきつね色になるとお稲荷さんみたい。



パスタ・レボリューション』には、とても興味深い写真もありました。
パッケリを元にしたパスタの設計図です。
グラニャーノのパスタメーカー、カンピのマウロ・オリヴィエーリというデザイナーが設計したカンポッティというパスタですが、2013年に、工業デザインの権威ある有名な賞、コンパッソドーロを取っていて、イタリアのスーパーカーの設計図かと思うくらい、カッコいい設計図です。
パスタで唯一受賞した作品。
こんな形を可能にしたのはダイスの発明。
ダイスは最初は木製で、スパゲッティ用の丸い穴が空いていた。
次に銅製、ブロンズ製になり、煮崩れないパスタの大量生産が可能になった。
ゆでても崩れずに形を保つパスタは、麺大国のアジアにもなかった。
イタリアの偉大な発明だった。
グラニャーノのパスタメーカー・カンピ

有名なフード・デザイナーなんですね。マウロ・オリヴィエーリ氏。


形、歯ごたえ、厚さ、粗さ、カーブなどが考えつくされています。
パスタの形は、最初のフードデザインと言われています。
2018年のコンパッソ・ドーロ受賞作


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パスタ・レボリューション
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シチリア出身のシェフがミラノで出した店は、その名もイカの卵。イカの卵はベネチアのチケッティの珍品中の珍品でした。

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