2020年7月9日木曜日

『イタリア・イン・クチーナ』のイタリア地方料理レッスン、ピエモンテ

新入荷の本、『イタリア・イン・クチーナ』の案内、続けます。
イタリア地方料理の教科書としても秀逸な本です。


州別に食文化と伝統、リチェッタを紹介しています。
今日は、ピエモンテの一部を訳してみます。
まず最初に、各州の特色が短くズバッと言い表されています。

ピエモンテは、ヨーロッパの主導権をめぐる争いの中でサヴォイア家と共に成長した地方。
トリノの公爵領から、スペインとオーストリアの戦争によって一国の首都へと変貌した。
現在のピエモンテ料理の名声の大部分は、ワインの素晴らしさと貴重な白トリュフと結びついている。
ピエモンテ州↓


ピエモンテは限界の地の起業家精神に満ちた地方。
フランスとの国境地帯にあるピエモンテは、フランスから大きな影響を受けてきた。その一地方のランゲは、エノガストロノミー観光業の中心地として国際的な市場を形成してきた。この幸運を支えているのは伝統と職人技が作り出す農作物だ。
トリノでは18世紀にベルモットやジャンドゥイオットを生み出し、ニッツァ・モンフェッラートのフランチェスコ・チリオはイタリアの保存食産業のパイオニアとなった。

ピエモンテ料理

現在のピエモンテ料理の名声の大部分は、飲食業者とワイン製造業者によって作り上げられた。
ピエモンテ料理は他の州と比べると、宮廷料理と庶民料理の垣根が低い。
宮廷料理に庶民が作る食材がたくさん使われているからだ。
ロンバルディア州との堺の平野は米の産地。湖からは川魚が届いた。アルプスの山はチーズやピエモンテ牛の産地だった。

ピエモンテ独特の食習慣の一つが、アンティパストの重要性、生麺のプリーモ・アッシュット、バターやラードといった動物製油脂、ドルチェの豊かなバリエーションなど。

ピエモンを代表する産物は、アルバの白トリュフ、ピーマン、ヘーゼルナッツ、ピエモンテ牛。

中でも特徴的なのが、クーネオやアスティ地方で栽培れているペペローニpeperoni。
特に知られているのが肉厚なカルマニョーラ(トリノ県)産。ピンツィモーニオpinzimonioやうさぎ肉の付け合せに最適。

カルマニョーラのピーマン。

そして現在のピエモンテの注目の料理人は、マッテオ・バロネットシェフ。

ミラノのカルロ・クラッコシェフの元で長年働いた後と、2013年に故郷のトリノに戻って、街のシンボルのレストラン・デル・カンビオのシェフになった。

デル・カンビオ
動画の中で話している人(オーナー)の横に立っているのがマッテオシェフ。


トリノ一の一流店。
シェフがトリノに戻って感じたのは、ミラノとトリノの根本的な違いだったそうです。

トリノではそこら中が伝統で一杯で、何にでも最高と試行錯誤を求められた。ミラノではここまで伝統へのこだわりを感じたことはなかった。すでに先人が試行錯誤の中から最高のものを作り出しているピエモンテ料理の、新しい1品を作り出すのは、料理をさらに複雑にする行為だった。

だが、伝統料理の素晴らしい点は常に変化することだと私は考えている。シェフが各地で培った経験が料理に加えられて、革新が生まれる。

伝統を誇る一流店のシェフになるのは、大変なことなんですねえ。
ピエモンテ料理の話、次回に続きます。

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イタリア・イン・クチーナ
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よもぎはドイツ語ではベアムート。かっこよくてお餅につける名前じゃないよね。トリノでパティシエが白ワインとよもぎから作りだしたのがベルモット。

今日のお題は、メイド・イン・イタリーの食材です。(CIR2022年1月号P.37の記事) その食材は、ベルモット。ピエモンテ州トリノで誕生したフレーバード・ワインです。 白ワインにスパイスとハーブを加えて香りをつけたもの。 ところで、ベルモットはドイツ語の“ヨモギWermut”が...