2025年12月7日日曜日

ピエモンテのマグロ。

今日の(CIR)の料理は、“うさぎのトンノとジャルディニエーラ”です。リチェッタの日本語訳と写真はP.12。
さて、例によって、これはどの地方の料理でしょうか。今回は分かりやすいですね。
まずは“うさぎのトンノ”。これはある地方のとても有名な料理です。海に面してないのにトンノ(マグロtonno)という名前をよりによってうさぎ(コニッリオconiglio)と組み合わせるというセンス。しかもその州の名前は山の麓、という意味なんです。強烈な海愛が感じられるこの料理。その地方は、ピエモンテです。州の名前に山(モンテ)がついてるんですが、その山は、もちろんアルプス。アルプスの麓なのに、その名物料理がやたらマグロに絡んでるんです。例えば有名なのはヴィテッロ・トンナート。
ピエモンテ

ヴィテッロ・トンナート

この料理のポイントはサルサ・トンナータsalsa tonnata。
この人はサルサ・トンナータには千種類あるんやで、って言ってます www。この言い方。イタリア人シェフからよく聞くけど、ちょっと控えめww。

香味野菜と一緒にゆでた子牛肉をスライスしてこのソースをかけるとヴィテッロ・トンナートになりますが、今日の料理はうさぎのトンノ。香味野菜やスパイスと一緒にゆでたうさぎ肉の料理ですが、サルサトンナータは登場しません。
この料理は、ガンベロ・ロッソの生みの親、ステファノ・ボニッリのイタリア地方料理の入門書“ティピコ・イタリアーノ

”によると、北西イタリアの代表的料理の一つ。この本によると、昔のうさぎ料理は野ウサギのことで、飼育されるようになったうさぎは比較的歴史の浅いもの。最初のうさぎ肉専門店は1874年にピエモンテのトリノにできたんだとか。やがて乱獲によって姿を消します。うさぎのトンノに使ううさぎは、グリージョ・ディ・カルマニョーラgrigio di carmagnolaというピエモンテの品種。うさぎのトンノは、昔はピエモンテのトラットリアには欠かせない料理でした。ピエモンテに野ウサギはいなくなったけど、この料理は無くさないで受け継いでいってほしい、とボニッリは書いています。
グリージョ・ディ・カルマニョ―ラと野ウサギ。

さて、そろそろ答え合わせをすると、うさぎのトンノという名前の由来は、モンフェッラートやヴァル・タナ―ロ地方のこの料理が、マグロのオイル漬けによく似ていたから、こう呼ばれるようになりました。ゆでたうさぎを瓶詰めにしてオイル漬けにする料理なのです。貧しい庶民の料理で、うさぎが手に入らない時は鶏肉で作りました。

ランゲとモンフェッラート。モンフェッラートはトリュフとわいんで有名。ポー河とターナロ河に挟まれた地域。

ピエモンテ料理のトラットリア、ピオーラ。

トンノ・ディ・コニッリオ。



ピエモンテの主婦が偶然造り出したと言ってますが、今やグランシェフのアルタクチーナとして扱われます。
ピエモンテでマグロ食べたことある人は、日本人でうさぎ肉食べたことある人ぐらい珍しかったんだろーなー。

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週末はクレアパッソのお薦め本の紹介。
スッド・グランデ・クチーナ(南伊・山・海)』

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(CIR)は『クチーナ・イタリアーナ』という地方料理の本としては最高の雑誌のリチェッタと記事を日本語に翻訳した約50ページの小冊子です。毎月日本語に翻訳している力作です。イタリア発の地方料理の情報は、昔の有名書籍が売り切れて入手困難になっている昨今ではとても貴重です。
価格は1冊\900(税・送料込)、1年12冊の定期購読だと15%引きの\9200(税・送料込)になります。紙版と、ネット上にupするPDF版があります。PDF版の価格は\800/号、定期購読は\7700/1年12冊です。

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ピエモンテのマグロ。

今日の(CIR)の料理は、“うさぎのトンノとジャルディニエーラ”です。リチェッタの日本語訳と写真はP.12。 さて、例によって、これはどの地方の料理でしょうか。今回は分かりやすいですね。 まずは“うさぎのトンノ”。これはある地方のとても有名な料理です。海に面してないのにトンノ(マ...