2025年12月15日月曜日

セナトーレ・カッぺリとナザレノ・ストランペッリ。

地中海を、そしてイタリア料理を象徴する食材、小麦。イタリア産古代小麦の中でも生産性が高いことで知られるセナトーレ・カッぺリ。
偉大な農業遺伝学者のナザレノ・ストランペッリがアフリカ産小麦から生み出し、農業改革の功労者、カッぺリ上院議員の名前を付けた小麦だ。1915年にこの品種が誕生して百年以上がたった。


イタリアの奇跡、ストランペッリとカッペッリ。国民的偉人たち。

プーリアの農場のセナトーレ・カッぺリの栽培。

古代小麦の栽培。初めて見た。

小麦は、農民が最新技術と取り組んで生み出し、育ててきた。小麦を知ることはイタリアの歴史を知ることでもある。
セナトーレ・カッぺリは、種まきの時期が11月初めと遅い品種。穂は高さ170㎝程度に成長し、畑はとても美しい。緑色でとても弾力があり、風が吹くと海のように波打つ。小麦が熟すと穂は茶色になり、海が黒くなったかのよう。地方によって違うが、6月末から7月半ばが脱穀の時期。収穫後は風通しの良い倉庫で湿度を管理しながら2ヵ月休ませて熟成させる。
次に管理された小麦を濡らして脱穀し、最後に粉にする。パスタの場合は、各製造所に送られて、巨大なサイロにストックされる。製品ごとに適量の水と混ぜてモニターで監視されながら生地になり、スパゲッティなど、各種のダイスを通して成形される。



ブロンズのダイスを通すと、表面がざらざらしてソースが絡みやすいパスタになる。ダイスがテフロン製だとつるつるのパスタになる。
さらに続く乾燥の過程は、湿度と時間の錬成術とも呼ばれる。硬質小麦セナトーレ・カッぺリに最適の温度と時間は、例えばスパゲッティなら80~100℃の高温で8~10時間かけて水分を飛ばす。たんぱく質の含有量の多いカッペッリ小麦は水分を発散させにくいのでスローな作業が求められる。たんぱく質には調理によってパスタが煮崩れしにくくなる働きもある。これは完璧な調理に求められる条件。
小麦の品種の開発には料理人の意見も加わっている。古代小麦の粉を使った料理のコンクールもある。

プーリアにはまだまだ面白い食文化があります。次回はワインの話の予定。

今日の話は(CIR2023年7月号)の記事、“プーリアのグルメガイド”のビジュアル解説です。記事の日本語訳と写真はP.16~。
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(CIR)は『クチーナ・イタリアーナ』という地方料理の本としては最高の雑誌のリチェッタと記事を日本語に翻訳した約50ページの小冊子です。毎月日本語に翻訳している力作です。イタリア発の地方料理の情報は、昔の有名書籍が売り切れて入手困難になっている昨今ではとても貴重です。
価格は1冊\900(税・送料込)、1年12冊の定期購読だと15%引きの\9200(税・送料込)になります。紙版と、ネット上にupするPDF版があります。PDF版の価格は\800/号、定期購読は\7700/1年12冊です。

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セナトーレ・カッぺリとナザレノ・ストランペッリ。

地中海を、そしてイタリア料理を象徴する食材、小麦。イタリア産古代小麦の中でも生産性が高いことで知られるセナトーレ・カッぺリ。 偉大な農業遺伝学者のナザレノ・ストランペッリがアフリカ産小麦から生み出し、農業改革の功労者、カッぺリ上院議員の名前を付けた小麦だ。1915年にこの品種が誕...