イタリアの農民の食生活を支えた穀物、オルゾとファッロ。
今日のお題は、現代まで生き残った古代小麦の一つ、ファッロです。
出典は2013/2014年6月号の『総合解説』の記事。
本を扱う身としては、紙の媒体は10年や20年は簡単にもつ、という思いが強烈です。
20年前に訳した記事には、当時のイタリアの食事情が詳細に記録されていました。
穀物は、食をささえるものだけに、時代に適した品種が次々に生み出され、時代の要求に合わないものはどんどん消えていきました。400以上あった小麦品種は、100年間で10品種以下になりました。
生き残った小麦の主なものは、
Gentil Rosso,Senatore Capppelli, piccolo faro, farro sperta。
ジェンティル・ロッソのパン
これらはどれも収穫量が多くて機械化に適した、たっぷりの肥料や殺虫剤を必要とする品種を作りだそうとした40年代の緑の革命の前に生まれている。
ストランペッリの緑の革命
お腹いっぱい食べることが庶民の夢だった時代のある天才の物語。ナザレノ・ストランペッリはセナトーレ・カッぺッリほど知られていないけど、イタリアの小麦の歴史上の重要人物。今では忘れられた科学者と呼ばれているけど、今後、どう再評価されていくかが楽しみ。
グラディエーターの有名な小麦畑のシーンは、小麦の専門家から見れば間違いだらけ、というショックな話。確かに、小麦はどんどん変化しているので、ローマ時代と現代の小麦では、穂の高さからしてまったく違う。人間が食べるものは自然ではなく、交配して作りだされたもの。ストランペッリの研究は、ムッソリーニの目にとまり、新しい品種の小麦は外貨を稼ぐ貿易品となり、大衆の飢えを満たす切り札となる。ストランペッリはファシスト党に入党しました。ノーベル賞の候補にも挙がっていたのに、ファシスト党員という事実は消せなかった。
古代小麦は自然と植物を敬い、オリジナルの姿を残し、抗酸化物質、たんぱく質、ミネラルが豊富だ。グルテンはあまり強くないのでグルテン過敏症が増えた現在には貴重な価値がある。
硬質小麦と軟質小麦の区別は1900年代初めに導入された。
代表的な古代小麦は、ジェンティル・ロッソ。1920~1930年頃もっとも
普及していた古代小麦で、天然酵母のサワードウのパンに適していた。硬質小麦ではセナトーレ・カッペッリが代表的だ。この小麦は偉大な農業遺伝学者のナザレの・スタンペッリがアフリカ産小麦から生み出して農業改革の功労者、カッペッリ上院議員の名前を付けたもの。一時忘れ去られていたが、特殊で個性的なパスタメーカーに見出された。
ストランペッリとカッペッリの小麦の研究はイタリアの奇跡と呼ばれて世界中に広まった。
セナトーレ・カッペッリは硬質小麦の名前になって広く知れ渡ったけど、ストランペッリの生涯は『小麦の男』という映画にもなった。
『小麦の男』トレーラー
イタリアの小麦の話をする時に、ナザレノ・ストランペッリとセナトーレ・カッペッリことラッファエッレ・カッペッリは最重要人物。
あ、ファッロの話は、次回に・・・。
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