2025年2月15日土曜日

素朴な小麦は環境のストレスにあまり敏感でないので環境に左右されにくい。これはセナトーレ・カッペッリの特性でもある。


小麦の話を軽い気持ちで始めたら、調べるとほどイタリア料理の基本がここにあった事実を知りました。
中でも重要なのは、古代小麦。
小麦は、長い年月の間に次々に新品種が作られ、古い品種は消えていきました。
新品種に求められる特性は、収穫量が多く、機械化に適し、病気に強く、栽培しやすいこと。
数千年の間には、人間の手による改良の他に、自然に行われてきた選別もあります。この選別から古代小麦を守るために、個性的なパスタを作ろうとするパスタメーカーや、シェフ、生産者、学者たちが古代小麦の普及に取り組んでいます。

セナトーレ・カッペッリは、イタリア産古代小麦で、生産性が高いことからイタリアで最も多く栽培される小麦になりました。好景気の時は忘れ去られかけましたが、遺伝子が100%受け継がれていることが専門機関によって確認されています。この小麦は他の品種とは十分離して栽培され、脱穀も別に行われました。畑は人工衛星によって5日ごとにモニターされ、異常があった時にはすぐに介入できるようになっています。
とはいえ。異常事態が起きるのはかなり珍しく、セナトーレ・カッぺッリは素朴な小麦で、高温や乾燥、大雨などの環境のストレスにあまり敏感ではないので環境に左右されにくいのです。
様々な悪条件にも耐えてきたセナトーレ・カッペッリですが、最大の敵は歩留まりのよい新しい品種でした。生産量は年々減っていしまいましたが、この小麦で作ったパスタは風味がよくて煮崩れしにくいと、値段はかなり高くても、美食の食材としての評価は高かったのです。
近代的な大規模栽培に適した品種が主流になって、セナ―トレ・カッペッリの生産量は減少しましたが、他品種と交配することなく、100%純粋な品種として多くの他の硬質小麦の父親になります。
栽培量を増やすきっかけとし考え出されたのがセナ―トレ・カッペッリ硬質小麦粉のパスタは風味豊かで個性があり、香りが持続する、と味の評価がとても高く、ヘルシーな小麦、というキャンペーン。
グルテンに敏感でセリアック病でない人を対象に行った研究では、セナトーレ・カッペッリの硬質小麦のパスタは典型的な症状なしで受け入れることができました。つまり、高度に精製していないので、微栄養素や食物繊維を含みながらすべての人に消化しやすい小麦であることがわかったのです。

セナトーレ・カッペッリに関しては情報量も多く、何よりもシェフたちに認められていることを強く感じます。
その一方で、消えかかっていると感じるのはファッロ。
ラテン語のfarの語源でもあるfarroですが、別名ピッコロ・ファッロ、またはモノコッコmonococco、ヒトツブコムギと言います。

モノコッコ

ファッロには、スペルトコムギ、最も一般的なエンマーコムギ、ヒトツブコムギの3種類あります。むきにくい薄皮で覆われています。スペルトコムという呼び方が、これら3種に対して曖昧に使われていると知ってから、スペルトコムギではなくファッロと呼ぶようにしました。

ファッロのズッパ

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価格は1冊\900(税・送料込)、1年12冊の定期購読だと15%引きの\9200(税・送料込)になります。紙版と、ネット上にupするPDF版があります。PDF版の価格は\800/号、定期購読は\7700/1年12冊です。料理雑誌も販売しています。

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