2024年4月9日火曜日

ローマを略奪したことで知られる凶暴なドイツの傭兵さえ、カネデルリで満腹になるとウトウトしちゃった。


(CIR)2022年1月号の話に戻ります。
CIRは『クチーナ・イタリアーナ』と『サーレ・エ・ぺぺ』という2冊のイタリア料理の月刊誌を翻訳した小冊子です。なので、1月号の地方料理は、『クチーナ・イタリアーナ』の“スペックのカネデルリ”と、『サーレ・エ・ぺぺ』の“ミネストラ・マリタータ”の2品でした。どちらも、かなり力を入れている連載記事です。長年訳してきましたが、私の地方料理の知識は、この記事から手に入れていると言っても過言ではありません。両雑誌とも、イタリアを代表する料理雑誌なだけあって、編集者の質がとても高く、写真も美しいので、雑誌の定期購読がお勧めです。
さて、『クチーナ・イタリアーナ』のこの地方料理の記事は、伝統的リチェッタを現代人向けに大胆にアレンジする、という企画。毎回イタリア人ならではのアレンジをしています。
料理の伝統については、日本に暮らしていては絶対に分からないような深さで解説しています。
今月の料理、“スペックのカネデルリ”は、スッドチロル、つまりトレンティーノ・アルト・アディジェの有名な名物料理。(日本語のリチェッタはCIRP.14)

カネデルリはパンがベースのニョッキ。


一見すると、しんなり炒めた玉ねぎと牛乳に浸したパン、卵を混ぜて丸めるという、ハンバーグそっくりな手順で作るニョッキですが、肝心なもの、挽肉は一切入りません。挽肉なしのハンバーグ。ただし、スッドチロルの宝、スペックが入ります。昔は、新宿のデパ地下まで、毎月仕事のついでにスペックを買いに行っていたものです。それくらい、スペックに夢中になってました。残り物のパンを有効利用するのがこの料理の目的で、料理の主役はパンですが・・・。さらにハンバーグと違うのは、焼くのではなく、ブロードで煮ます。

スペック スモークする甘い生ハム。

動画はドイツ語ですが、この地方はドイツの文化圏。
そもそもカネデルリの歴史なんて知ってる人は少ないと思いますが、今月の『クチーナ・イタリアーナ』の記事には、難しいドイツ語が登場して、これがこの料理が生まれたきっかけだと言うのです。そのドイツ語は、“lanzichenecchi”。イタリア語ではランツクネヒトと言うそうです。
大抵の人は初めて聞く言葉だと思いますが、凶暴さで有名で、14世紀ごろからヨーロッパを恐怖に陥れていたドイツの傭兵だそうです。ローマ略奪と言う歴史的な攻撃で知られています。

ランツクネヒト

ローマさえ略奪する彼らがある日、スッドチロルの山小屋に押し入ったというのです。そしてすぐに食べ物をたっぷり用意しろ、さもなければすべてを破壊する、と脅したのです。
でも、ただでさえ食べるものがない山の上に、用意できるものはあるのでしようか。
多分、選択肢なんてあるわけありません。当然の結果ですが、山小屋の農民は、パン、牛乳、スペックを練って丸めたカネデルリを作ったのです。
ランツクネヒトはこのカネデルリがとても気に入り、満腹になるとうとうとしだしたのです。
このほのぼのした物語が、スペック入りカネデルリの誕生の物語でした。
スッドチロルに行って食べてみたいなあ。

スッドチロル

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(CIR)は『クチーナ・イタリアーナ』と『サーレ・エ・ペペ』という2冊のイタリア料理の月刊誌のリチェッタと記事を日本語に翻訳した約50ページの小冊子です。
価格は1冊\900(税・送料込)、1年12冊の定期購読だと15%引きの\9200(税・送料込)になります。紙版と、ネット上にupするPDF版があります。PDF版の価格は\800/号、定期購読は\7700/1年12冊です。料理雑誌も販売しています。

現在、2022年の号を販売中です。それ以前の号と、旧総合解説はシステムの変更のため販売を終了しました。
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