2021年12月6日月曜日

パスタをゆでる時塩を加えるのは沸点を上げるためと信じている人は塩を加える代わりに鍋に蓋をしてみましょう。

今日は(CIR)3月号の記事から、“ゆでないパスタ”です。
お湯が沸騰したら塩を加え、パスタを入れてパッケージに表示された時間ゆでる、という普通だと思っていたゆで方が、今どきのイタリアでは、“伝統的”、と言われる昔ながらの方法だなんて、かなりショック。で、今どきの新しいゆで方とは?
それを説明するのがこの記事です。
今回のお題を理解するには、固定概念を捨てる必要があります。

まず、記事によると、新しいゆで方のヒントを与えたのは、突然世に出たパスタの傑作本、『パスタ・レボリューション

だそうです。
この本は、イタリアの食文化やパスタの歴史上、革命的なまでに大きな影響を与えた出来事を専門的な分析も加えて解説している本です。
この本に出会って以来、私のパスタに対する考えも大きく変わりました。

パスタのゆで方については、例えば塩はいつ加えるのかという問題では、すべてのイタリア人が、うちではこうする、という自分の家の流儀が正解と堅く信じています。
ところがパスタのゆで方についてイタリア語でググる人は、数百万人いるそうです。
調理の化学について詳しい科学者、ダリオ・ブレッサニーニ氏によると、

パスタをゆでる湯に塩を加えるのは湯が沸騰してからで、こうするとゆでる時間が短くてすむから、というのが大多数の意見ですが、彼は塩を加えると沸点が上昇するが、1㍑の水を1℃上昇させるには塩58gが必要。通常は5〜10gなのにですと指摘します。
結局、塩を加えるのではなく、正解は鍋に蓋をしてゆでる、だそうです。こうすると20%時間が短縮できます(パスタを加えた後は蓋はしない)。

彼の実験、1日でリモンチェッロを造る↓
・ピーラーで無農薬のレモンの皮の色付きの部分40g(エチルアルコール100gにつき)を切り取るり(動画ではレモン1個から80g切り取った)、小さく切って密閉ビンに入れ、アルコール200gに浸す。
・皮に含まれる精油は光に弱いので、ビンをアルミ箔で覆って光を遮り、または真っ暗な場所で寝かせる。
・レモンの香りの成分の主要な分子は、リモネン、ベータピネン、ガンマテルピネンの3種。
これらは酸に弱いので、レモン汁は加えてはいけない。
・皮を浸す期間はこの分子が皮に溶け出る間。伝統的なリチェッタでは1週間から40日まで様々だが、彼は、科学的には最低1日で長くて3日と言う。分子はアルコールに溶け出すので、アルコールが手に入らない時は、アルコール以外のものがなるべくない純粋な酒、ウオッカなどで代用できる。
・濾して皮を取り除き、砂糖を加える。あまり甘くないものが好きなので、最初のアルコール200gの半量、今回は100gを加える。シロップを加えても、砂糖と水(最初のアルコールと同量と溶けた分少々つまり220g)でも違いはない。
・混ぜて溶かし、ボトルに詰める。

伝統的な製法というのは、科学的に情け容赦なく分析すると、なんのためなのかが白日のもとに晒されてしまいます。
そして大抵が、意味がなかった、という結論に達するのです。

パスタのゆで方のもう一つのキーワード、アルデンテ。
イタリア人のプライドが詰まったこの言葉。
次回はこの言葉を取り上げます。

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