2021年12月8日水曜日

調理化学は人類へノーベル賞ものの貢献を生み出す。ゆでないパスタは温暖化対策になるかも。

イタリアで食事の時にフォークを使うようになったのは、公式には1004年以降とされています。ビザンツ帝国から伝わった刃が2本の金のフォークでした。

ベネチアで行われたビザンツ帝国皇帝、バシレイオス2世の孫、マリア・アウギロポーリーナとベネチア総督ジョバンニ・オルセオロとの結婚披露宴の際に17歳の新婦が小さな食べ物を取るための道具としてデビューしました。
当時コンスタンチノープルではすでに商人たちの間でフォークが使われていましたが、ベネチアではまだ知られていませんでした。
でも、ビザンツの権力者とベネチアの権力者同士の結婚が繰り返されて両者の関係が強固になり、料理を小さく切って手でなくフォークで口に運ぶ食べ方がベネチアにも普及します。
さらにイタリアの貴族が力を振るう大都市、フィレンツェ、ピサ、ジェノバへと広まっていきました。
さらにカテリーナ・デ・メディチが1533年にフランス王と結婚して、フランスの宮廷にもフォークは広まります。
イタリアではもちろん、パスタの普及と共にフォークも普及します。それにしても、パスタの国イタリアで、フォークを使わずにスパゲッティを食べるってどういうこと?と思いますよね。
あっそうだ、昔は手づかみでスパゲッティを食べていたんだ。
庶民の間にフォークが普及したのは18世紀半ばのこと。



火を使わないパスタの調理方法↓

・鍋の水が沸騰したら塩少々を加え、パスタを入れて蓋をして火を止める。
・袋に表示された時間、またはソースを作る間、そのままにする。
・つまり沸騰させ続けることは必要ではない、これは自分が考えたことではなく、ずっと前から多くのシェフが言っている方法。
この方法の利点はガス代が節約できること。
・時間が経ったら水気を切り、ソースであえてサーブする。

水は100℃で沸騰するというのは、海抜0mでの話で、標高が高い地点では水は100℃にならないので沸騰しないということになる。
でも、山の上でもパスタは同じようにできる。
つまりパスタをゆでるのに湯を沸騰させる必要はないのだ。
1799年に熱力学と調理化学のパイオニアベンジャミン・トンプソンは、当時の習慣になっていた調理方法を観察して科学的な観点から再検証した。
wikiによると彼は神聖ローマ帝国からランフォード伯の称号を授与されている。サーの称号も与えられている。さらに最小限の出費で最大限の栄養をつけるスープを考え出すことが世界の飢餓を解決することにつながる、という考えの持ち主だった。
これは、小麦を収穫量が増えるように改良して世界の飢餓を救い、ノーベル平和賞を授与されたノーマン・ボーローグ博士にも匹敵するではないですか。
小麦の品種改良と、かまどの燃焼効率を上げる方法の考案、こんな小さな一歩が、人類を救う、と考えれば、パスタをゆでる間火を使わない、という習慣が広まれば、温暖化対策にだってなるはず、と信じる人は大勢いるようです。
パスタを沸騰した湯でゆでるのには、1.水分を乾麺に浸透させる、2.デンプンをゼリー化させる、3.グルテンを固める、という3つの目的がある。乾麺は水でも吸い込むが、デンプンのゼリー化には最低60℃、グルテンの凝固には70〜80℃が必要。つまり、パスタのゆで時間の10〜15分間、この温度を保てればよい。

多くのグランシェフたちも取り入れている調理方法で、味の点は問題なさそう。
トレンドに敏感なインフルエンサーたちはすぐに取り入れたがっているようだけど、問題はやっぱり味。ぼちぼち試して見る人も現れているようです。


結論から言うと、まあ、美味しい。
でも、問題はプロ。
さすがにプロでこの方法を推す人はなかなかいないよう。
で、登場するのが(CIR)2月号の最後の記事、
“ゆでないパスタ”ですが、この場合、ゆでるというのは伝統的方法、つまり大鍋にたっぷりの水を入れて時間をかけてグラグラ沸騰させ、その状態を保ってパスタをゆでる、という昔ながらの方法のことです。

それ以外の方法が“ゆでない”方法です。
その代表的なのが“la cottura passiva”

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