2021年12月17日金曜日

この十数年でパスタは量より質の時代になった。品質の追求から古代小麦が再発見され、あらゆる小麦製品のアプローチが変わった。

今日のお題は(CIR)3月号から(P.32)“新作パスタ”です。
実はこの記事、一押しのパスタの本、『パスタ・レボリューション
の内容がベースになっている、という異色の記事なんです。
私もこの本を初めて読んだ時は衝撃的な面白さでしたが、イタリアでも注目されていたようです。
パスタが食の世界で起こした革命的出来事について検証しているこの本は、そもそもパスタは大衆的な庶民の食べ物で、アルタ・クチーナの世界では全然受け入れられていなかった、という事実が大前提。

何度も紹介してきたフェリーニ監督の傑作CM。バリラのリガトーニ“上流社会”。


このCMを理解するには、イタリアでパスタは家庭的な庶民の食べ物で、高級店でフランス語でサーブされながら食べるものではないと考えられていたことを知っている必要があります。

そしてこの本では、小麦がイタリアに伝わって以来、パスタが大衆的な食べ物になっていった過程と、アルタ・クチーナの世界で起きた革命によって食材や製法に気を配ってシェフのクリエイティビティーが発揮されたパスタが大流行してパタスの新しいトレンドになり、家庭にまで影響が及び、毎日食べる量産型のパスタにも取り入れられるようになったことが無数の写真と共に紹介されています。

量より質の時代の到来です。パスタにはメーカーの哲学が込められるようになりました。
パスタの質は小麦粉、水、空気、地理的な要因に左右されます。
グラニャーノのように上質のパスタ作りのために造られた街もありましたが、現在は、カンパーニアから遠く離れた場所にあるメーカーも存在します。
さらに、乾燥パスタは、有機栽培された単一品種の小麦粉から造るので畑の場所も重要です。
品質の追求はいわゆる古代小麦の再発見につながり、あらゆる小麦製品のアプローチが変わりました。
現代では、パスタメーカーはパスタの社会的な地位の向上より、産地へのこだわりを追求しています。

生物多様性の本場シチリアでは多くの品種の古代小麦が栽培されている↓

古代小麦とは、生産量を増やすための自然な交配が行われていない小麦。その大部分はグルテンの含有量が低く、消化しやすく、風味が強いが一般的な小麦と比べて収穫率がとても低い。
そのため価格も高くなる。

小麦粉と水をこねた生地はダイスを通して成形しますが、ダイスの発明はパスタの歴史上の大革命でした。ダイスを通すことによって、パスタの形は無限になりました。製造時間も大幅に短縮されました。ブロンズのダイスを通したパスタは多孔質になって肉やクリームのソースによく合い、テフロンのダイスを通したパスタは魚のスーゴに合う、というようなこともわかってきた。
スパゲッティやメッゼ・ペンネのようにすでに完璧に完成しているパスタの形を新しくするのは難しいが、それでも毎年新作パスタは生まれている。
パスタのデザインは天才的デザイナーのフード・デザインの分野での活躍の場となっている。
パスタの形とソースの組み合わせは永遠のテーマ。

新作パスタの一つ、ベズービ    vesuvi
カンパーニアのシンボル、ベズビオ山のパスタ。

こちらはフィレンツェのシンボル、ユリの花をデザインしたジーリgigliというパスタ。

パスタの形はなんでもありな状態になってますが、生き残れるのはたぶんわずか。



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