2021年12月18日土曜日

ニコ・ロミートシェフのカペッリーニはイタリアのアルタ・クチーナの常識を打ち破って家庭にまで広まった。

(CIR)3月号の記事“新作パスタ”は、「ニコ・ロミートシェフがカステル・ディ・サングロのリストランテ・レアーレのメニューに、Capellini laccati ar porriを載せたのは2009年だった。」
という一文で始まります。
ニコ・ロミートシェフは、アブルッツォのカステル・ディ・サングエの3つ星リストランテ、レアーレのシェフで、この店は世界のベストレストラン50にも選ばれていて、彼は今やイタリアを代表するシェフの一人です。
レアーレ↓

バリバリ・アバンギャルドな最先端に立っているシェフということはこの動画だけでもよくわかります。極限までシンプルな料理に思考をぎゅぎゅぎゅっと詰めているのが彼の料理。見た目のシンプルさが一口食べると大きく裏切られて、おっとこれは!と目を見開くことになります。


問題は、動画の彼も食べているカペッリーニ。
当時のイタリアで、パスタは安くてお手軽な食材の代表で、高級レストランでだす料理ではない、と思われていました。
彼はこの常識を打ち破りました。
そして質素でシンプルな食材を使った料理が彼のスタイルとなります。
初めて作ったのは一人のシェフでしたが、これが家庭にまで広まってトレンドになり、シェフのクリエイティビティが発揮されたパスタは大流行したのです。
天才シェフたちのこのような発想が、パスタの世界と可能性を広げました。

そんなシェフたちのパスタを集めた本が『パスタ・レボリューション』です。

この本にはロミートシェフのパスタのリチェッタも紹介されています。
“バッカラとトマトのスパゲットーネ・マンテカート”です。

この料理は、日常的な食材をご馳走に変える、という彼の本領が発揮されています。
バッカラは、イタリアでは魚の中でも最も大衆的な魚で、海から遠く離れた地方でも手に入る魚です。
パスタはデンプンを利用し(デンプンを利用できるのは低温で長時間乾燥させるアルティジャナーレのグラニャーノのパスタならでは)、トマトの強い酸味を利用したエレガントでミニマリスト的料理。
ニーコ・ロミートシェフのバッカラマンテカート・パプリカ・じゃがいものグラニャーノのパスタ↓。

ニコ・ロミートシェフのペーストのフェットゥチーネ。
ペーストは色が黒くならないように氷を加えて撹拌するのがポイント。さらに仕上げにオリーブオイルを加えて乳化させてソースをクリーミーにする。
グラニャーノのパスタはゆで汁にデンプンが溶け出るのでペーストを加えてマンテカーレするとさらにクリーミーに仕上がる。

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