2021年8月19日木曜日

ナポリ料理のなすのフンゲッティは、ビネガーと砂糖を加えないカポナータ。

南イタリアのなす料理、今日はフンゲットfunghettoです。
きのこっぽい名前だけど、なす料理。
どんな料理か見当もつかなかったけど、動画はたくさんあります。
かなり一般的な料理だったようです。
ナポリ料理だそうです。
言い換えると、ビネガーと砂糖を加えないカポナータ。


ナポリならではなのは、フレッシュトマト。
 パンにのせてクロスタータにするのが一般的ですが、ツナやモッツァレラを加えると、一層カンパーニア風に。
アグロドルチェな味付けは、まさにシチリアの味そのもの。

フンゲットは形だけ見るとシチリアのカポナータによく似てます。
フンゲットという名前だけど、きのこが全く入っていないところは、カポナータという名前の甘酸っぱいなすの料理なのに、名前になす、ビネガー、砂糖に関係ある言葉が何も入っていないカポナータに似ているかも。
一説では、なすの小角切りがきのこ(ポルチーニ)の小角切りに似ているから、この名前がついたとか。
なすのフンゲットのリチェッタは、おなじみの、グイド・トンマージの『クチーナ・ディ・ナポリ
にも、ルチアーノ・ピニャタロのリチェッテ・ディ・ナポリ
にも載っています。
今日はグイド・トンマージのリチェッタを訳してみます。
Melanzane a fungitiello/なすのフンゲッティ
材料/4〜6人分
なす・・1kg
ミニトマト・300g
バジリコのみじん切り・・1把
にんにく・・1かけ
EVオリーブオイル・・大さじ3
塩、こしょう(好みで)、揚げ油

・なすは皮ごと小角切りにして粗塩を散らし、ざるに入れて最低1時間アク抜きする。
・塩をすすいで布巾に広げて乾かし、水気を絞る。
・熱した油で少量ずつきつね色に揚げる。
・フライパンの油をあけ、新たな油大さじ3で潰したにんにくを炒める。にんにくを取り除いてミニトマトを加え、フォークの背で軽く潰して汁(スーゴ)を煮詰める。
・ナスを加えてなじませ、塩味を整える。バジリコのみじん切りとこしょう(好みで)を加える。

おまけの動画は、シチリアと同じくアラブからなすが伝わったと思われる地中海諸国のなす料理。
ギリシャのなす料理といえばこれ、ムサカmoussaka。
パルミジャーナの直径のルーツかも。


ムサカ系料理は地中海諸国に色々あるけど、カポナータタイプは意外と珍しい。そう言えば、肉が入っていないので、メインにならないのでした。
なすのパルミジャーナ↓

こうしてみると、こってり系が多い地中海のなす料理の中で、甘酸っぱいカポナータはかなり異色。
中東系から1品、レバノン風ムサカ↓

シチリアとナポリの食文化の違いを考える時、忘れられないのが、フランス料理の影響。
共に両シチリア王国の首都だったナポリとシチリアですが、フランスの影響が強いと、モンズーと呼ばれるフランス人のお抱え料理人が作った貴族のための洗練された豪華な料理があり、庶民の料理とは、はっきりした境界線が引かれていたのです。
カポナータは貴族のホウボウ料理の庶民版、というルーツでした。

次回は、これもなす料理?、なすのベッカフィーコです。

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バッカラはノルウェーとイタリアを結ぶ干物貿易の主役で、この航路は1450年作成の世界地図にも記載されるほど重要でした。

(CIR12月号)によると、ヴィチェンツァでは、この料理はCが1つなんだそうです。普通はバッカラはbaccalàでも、ヴィツェンツァでは、Cがひとつのバカラ。んなばかな、と思ったけど、地元のこの料理の専門家たちは、C一つで呼んでました。会の名前の刺繍もC一つ。リチェッタはP.11...