2021年8月6日金曜日

ベネチアの最重要交易品はEVオリーブオイルだった。イタリアンのクラシックになったベネト料理、イワシのイン・サオール。

ベネトを代表するパスタが鴨のラグーのビゴリだと知って、ジビエのパスタが一般的な地方料理とはリッチ〜、なんて思ってました。
もっとベネトのソースについて知りたくなり、イタリア料理アカデミーの本、スーゴとソース』を読んでいたら、こんな事が書いてありました。

スーゴとソースのベースは、油、バター、ラードなどの油脂と、野菜やスパイスなどの香味料からなる。

ベネト料理は、歴史的にベネチア共和国の影響が強く、特に経済、文化、軍事の影響は強大で、支配した領土やその周辺の料理も取り込んでいった。
さらにソースは、都市部と農村部でも特徴が違う。

オリーブオイル、正確にはエキストラバージンオリーブオイルは、ベネチアのもっとも重要な交易品だった。
オリーブオイルは、イストリア(スロベニア、クロアチアなど)、プーリア、ギリシャの島々の重要な産物だった。
しかも当時のベネチアは、オイルから作る石鹸が名物。
輸入されたオイルの40%は石鹸や織物に用いられ、食用はその残りだった。
オリーブオイル石鹸↓

動物性油脂のもっとも重要なものはバター。
ベネチアではバター販売業者は、鶏販売業者と提携して厳しいルールを作り、外国産に対抗するようになる。
オリーブオイルにもバターにも、その地域ならではの独自の歴史があるのですねー。

油脂と香り(玉ねぎ、にんにく、セロリ、にんじんなどの香味野菜)とベネチアの得意分野のスパイス(シナモン、クローブ、ナツメグ、こしょう、しょうが、サフラン)がそろい、そしてベネトのソースに最後に加わったのは、ワインビネガーでした。
パスツールが酢酸菌を発見し、酢ができる原理が分かるとアルコールを酢にしたワインビネガーが生まれます。
ちなみに、パスツールはワクチンも開発した人です。

オリーブオイル、香味野菜、スパイス、ワインビネガーを手にしたベネトの人たちが造り出した料理は、大ヒットしてベネトを代表する料理になります。
サオールsaorです。
ベネトを飛び出して、イタリア料理のクラシック、国民的イタリア料理になりました。
玉ねぎや揚げた魚、松の実やレーズンの甘味と酸味の組み合わせで、高い保存性もある料理です。
魚の中でもイワシとの相性が抜群でした。
イワシのイン・サオール↓


イワシのイン・サオールsarde in saor
材料
イワシ・・大400g
00番の小麦粉・・80g
揚げ油(ピーナッツ油)・・360ml
玉ねぎ・・800g
ビネガー・・200ml
白ワイン・・80ml
松の実・・40g
レーズン・・40g、塩

・イワシは鱗と頭を取って洗い、軽く小麦粉をつけて熱した油で揚げて(5分)8割火を通す。
・薄く切った玉ねぎを少量のイワシを揚げた油で炒める。ビネガーとワインをかけてアルコール分を飛ばす。レーズンと松の実を加えてなじませ、塩を加える。
・オーブン皿にイワシを1段並べ、熱い玉ねぎと煮汁をかけてイワシに火を通す。材料がなくなるまで繰り返し、耐熱皿をラップで覆って冷蔵庫で2日マリネする。
※ベネチアには7月の第3日曜のレデントーレの祭りの夜に船の上でこの料理を食べる伝統がある。
※伝統的には松の実とレーズンは冬の間だけ加える。
リチェッタは『メイド・イン・イタリー

のもの。

にはこうあります。
「サオールsaòrは“酸っぱいagro”という意味で、ベネチアでは魚料理、特にイワシの保存食として用いられた。玉ねぎ、オリーブオイル、ローリエがベースで、松の実とレーズン加えることもある。
ハリーズ・バーでは、野菜の甘味がこの料理のポイントと考えて、白インゲンやいんげん豆、なすなどでも応用して前菜にしている。

サオールsaor
材料6人(100g)分
 ひまわり油・・60ml
ローリエ・・3枚
薄く切った白玉ねぎ・・2個
赤ワインビネガー・・大さじ3

・広いフライパンに油を入れて強すぎない火で熱する。
・玉ねぎとローリエを加えて玉ねぎがしんなりするまで炒める(15〜20分)。
ビネガーを加えて混ぜ、火から下ろす。

なすのイン・サオールmelanzane in saor
6人分

サオール・・100g
種をとって粗く刻んだトマト・・2、3個
なす・・小3本(450g)
オリーブオイル・・60〜100ml
塩・・大さじ1

・サオールを作り、小さく切ったトマトとビネガーを加える。
・なすを縦に厚さ2〜3cmに切る。
・塩をしてざるに入れ、アクを出す。
・塩を落としてシートで水気を切る。
・フライパンに油大さじ3を熱し、なすを少量ずつ揚げる。必要なら油を足す。5、6分後に裏返し、柔らかくなるまで揚げる(8〜10分)。
・深さ20〜23cmの鍋にサオールの1/3を入れ、揚げたなすの半量を並べる。残りのサオールの半量をかけてなすを並べる。残りのサオールをかけて室温で最低2時間マリネする。
なすのインサオール↓


------------------------------------------------------- 
「日本語解説(CIR)」
[creapasso.comへ戻る]
本の購入方法
お問い合わせ
=====================================

0 件のコメント:

バッカラはノルウェーとイタリアを結ぶ干物貿易の主役で、この航路は1450年作成の世界地図にも記載されるほど重要でした。

(CIR12月号)によると、ヴィチェンツァでは、この料理はCが1つなんだそうです。普通はバッカラはbaccalàでも、ヴィツェンツァでは、Cがひとつのバカラ。んなばかな、と思ったけど、地元のこの料理の専門家たちは、C一つで呼んでました。会の名前の刺繍もC一つ。リチェッタはP.11...