2021年6月19日土曜日

ビーフ・ウェリントンもイタリア人の手にかかると豚ヒレ肉の料理、フィレット・ウェリントンに変身する。

きょうの料理は“ビーフウェリントン”のアレンジです。
きのうのコストレッタ・ミラネーゼは子牛のリブロースのイタリアの国民的料理ですが、こちらは欧米の古典料理(リチェッタは今月の「CIR」のP.11にあります)。
ウェリントンはワーテルローの戦いでナポレオンを破ったイギリス人の英雄で、首相まで努めた人なので、イギリス人に敬意を払って、たまにはイギリス人の料理を見てみますか。


イタリアでも定番の牛ヒレ料理として知られているので、ビーフウェリントンと言えばどんな料理か説明しなくてもわかります。
牛ヒレ肉にデュクセルを塗り、パイで包んで焼くご馳走です。
でも、イタリア人には牛ヒレ肉は贅沢すぎたのか、今月のリチェッタでは、豚ヒレで代用しています。
この料理の名前は、ビーフ・ウェリントンで、そもそも、牛のヒレ肉の料理というのが大前提です。
下のイタリアの動画では、一回り小さな子牛のヒレ肉を使っています。


牛のヒレ肉の代わりに豚のヒレ肉を使ったのは、経済的だから、という理由だけではないようです。
そもそも、北イタリアはミルク用の牛の飼育が盛んな地方でした。なので、仔牛肉料理も普及しています。
ところが、イタリアでは、牛と豚は、違う伝わり方をしました。
豚はケルト人が伝えました。猪は大昔からいました。
肉を食べるステーキが主流の牛に対して、どこも捨てるところがない、と言われてあらゆる部位が利用された豚は、かなり違う食文化が発展しました。
子牛料理が広まったミラノには、どんな豚肉料理があると思いますか?
ミラノの子牛料理のシンボルがコストレッタ・ミラネーゼなら、豚肉料理のシンボルは、豚のあらゆる部位を使う料理、カスーラCassoeulaです。↓

ビーフ・ウェリントンはある意味、とてもアングロサクソン的料理で、カスーラはケルト風。
ケルト人は後にゲルマン人に吸収されていく民族。

ちなみに、ビーフ・ウェリントンを作っていたキッチンの後ろの中央にあった本は、スローフードの『オステリエ・ディ・イタリア

イタリア地方料理書のお勧めはイタリア・イン・クチーナ



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