2020年1月11日土曜日

マンジャファジョーリとパスタ・エ・ファジョーリ

イタリア料理のベースのパスタをチェックしています。
海がある地域のアサリのパスタと、海がない地域のパスタ・エ・ファジョーリまで行きつきましたが、
ファジョーリといえば、イタリアには豆喰い(mangiafagioli)、と揶揄されるくらい豆が大好きな地方がありました。そう、中部イタリアのトスカーナ州です。

それに、“豆喰い”というタイトルの、この地方の料理を紹介する時に必ず登場する有名な絵もあります。



17世紀末の作品で、ローマ・バロックの傑作。当時の農民の生活が写真のように描き出されています。
現在はローマのコロンナ宮殿の美術館所蔵です。
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とても写実的な絵で、アートに詳しい人は、構図や光源などに興味をいだくのでしょうが、料理人の皆さまなら、おそらく、この豆は何か、卓上にある食べ物は何かなどに目が行くはず。
しかも答えはすぐ分かる。
白インゲンにも見える豆はトスカーナの名産品カンネッリーニではなく、多分黒目豆。
スプーンから汁が滴り落ちているので、この料理はズッパ・ディ・ファジョーリですね。
横にある葉玉ねぎとパンをかじりながら食べるのでしょう。

そういえば、トスカーナには乾麺のパスタの地方料理で、これといった代表的なものがないですね。
豆には強い愛着を示したトスカーナの人は、なぜかパスタには冷たい対応なんです。
パスタよりパンが有名でした。塩気のないパーネ・ショッコです。
パンがあったということは小麦粉があったのですから、乾麺のパスタも当然作られていました。
パスタ・エ・ファジョーリは農民の暮らしから生まれたスープのようなパスタです。

でも、豆のスープが大好きなトスカーナの料理ではなく、なぜかパスタの産地の方、ナポリの料理として世に出回っています。
ただ、家庭料理の定番だけあって、イタリア中に広まっていてバリエーションは無数にあり、どこの地方の料理とは言い切れません。

人気のナポリ料理の本、ルチアーノ・ピーニャターロのリチェッテ・ディ・ナポリ

には、パスタ・エ・ファジョーリは農村の料理から次第に都会の料理になり、それに伴い、皿の中央にフォークを刺しても倒れないような料理、つまり汁気の少ない料理になった。と説明しています。
ナポリでは、パスタ・エ・ファジョーリのことをazzeccosaな料理だと言います。つまりどろどろの料理です。
そういえば、以前、カンネッリーニでない缶詰の白インゲンを使ってスープを作ったら、全然どろどろにならなくて、ただの豆入りスープになってしまったことがありました。
パスタ・エ・ファジョーリの魅力はどろどろ具合だったのですね。
確かに、初めて食べた時は、その味に比べて、残念ながら見栄えが非常に悪い料理だと感じたものです。
でも、このドロドロ具合は、パスタや米をマンテカーレしたのと同じ効果を料理に与えます。
ところが、どの豆でもどろどろになるのではなく、カンネッリーニやボルロッティなどのイタリアの豆が必要だったのです。アメリカ原産の細長いタイプの豆ではどろどろにならないのです。
ナポリの人は、パスタのデンプンをゆで汁に溶け出させて、とろみをつける料理方法を知っていました。
トスカーナの人が豆喰いと言われるほどに豆が好きになったのは、ドロドロになる豆が栽培できたからなのでは・・・。
パスタの話がちっょと脱線してきましたが、ナポリの人がわざわざazzeccosaと呼んだ調理方法には、大きなポイントがあるような・・・。

カンネッリーニのパスタ・エ・ファジョーリ

ナポリ風パスタ・エ・ファジョーリ

クラシック・パスタ・エ・ファジョーリ
リチェッタは次回。




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リチェッテ・ディ・ナポリ
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バッカラはノルウェーとイタリアを結ぶ干物貿易の主役で、この航路は1450年作成の世界地図にも記載されるほど重要でした。

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