2020年5月13日水曜日

スフォリアテッラの聖地、サンタ・ローザ修道院とパスティッチェリア・ピンタウロ

1001specialita
スフォリアテッラの話です。
スフォリアテッラとは、イタリア料理の百科事典『1001スペチャリタ・デッラ・クチーナ・イタリアーナ』によると、ナポリでとても愛されているドルチェ。
サレルノからアマルフィ海岸にかけてのカンパーニア地方のドルチェ。
17世紀にサンタ・ローザ・デ・リマ・ディ・コンカ・デ・マリーニの修道院で作り出されたと言われている。


アマルフィ海岸の修道院は、ロケーションの素晴らしさから高級ホテルになっているものが多いけど、ここもそのようです。

コンカ・デ・マリーニ

ここのビーチは海からしか行けない。
こんな素晴らしいロケーションで、修道女が、牛乳で煮たセモリナ粉の残り物にドライフルーツ少々を加えて、薄いパイ生地で、修道士の頭巾の形に包んで作り出したのが、スフォリアテッラ。
サンタ・ローザ修道院とその近隣のスフォリアテッラのイベント。
アマルフィにはこんなパラダイスがまだ隠れていました。

やがてこのドルチェの評判はナポリまで届き、パスクアーレ・ピンタウロが知ることとなります。
ナポリのドルチェの殿堂の1つ、ピンタウロの創業者です。
リチェッタに改良を加えたピンタウロは、自分の店で販売を始めます。
結局スフォリアテッレは大成功を収めます。
そしてその成功は現在も続いています。
スフォリアテッレの聖地となったピンタウロの店。

修道院のスフォリアテッラ


私は、こんな歴史や2種類あるリチェッタのことなど何も知らずにスフォリアテッラを口にして、あっという間に虜になりました。
リチェッタは次回に。


-------------------------------------------------------
「総合解説」
 [creapasso.comへ戻る] 
 =====================================

2020年5月12日火曜日

スフォリアテッラがナポリで一番美味しい店

ナポリのグルメガイド。
今日はナポリ駅周辺の美味しい店の紹介です。
「総合解説」2018年5/6月号P.32~。

ナポリ駅は周辺は、昔は物騒で足を踏み入れたくない地域でしたが、どんどん変わって、今はこんなになってます。

もちろんこのご時世ですから、店はどこも閉まっていますが、近頃では徐々に規制が解除になって動き出してもいます。カフェで一日をスタートさせる人たちの生活も戻ってきたようです。


元々苦しい時に助け合いの精神が強いナポリがどう立ち直っていくか・・・。

ナポリの“カフェ・ソスペーゾ”は、余裕のある人が困っている人のためにコーヒー代を2杯分払うシステム。
コーヒーからピッツァまで、ナポリ人の固い絆を世界的に有名にしたシステムですが、昔からある習慣で、若者の中には知らない人もいたとか。
こんな事態になって初めて体験して、ナポリ人であることを一層誇りに思うことでしょう。


ナポリ駅周辺の、ナポリで一番スフォリアテッラが美味しいと言われる店、ダ・アタナシオ。こ、これはパラダイスだあ。ナポリの人は復活の日を首を長くして待っていたことでしょう。


ダ・アタナシオのスフォリアテッラ。
ナポリのスフォリアテッラには、リッチャとフロッラという2種類の生地があります。
リッチャはパリッとしたパイ生地で、フロッラはタルト生地。具は同じ。


ナポリ頑張れ。

-------------------------------------------------------
 [creapasso.comへ戻る] 
=====================================


2020年5月11日月曜日

パスタを手づかみで食べさせたら伝説級のトトとナポリの守護聖人のスパゲッティ

今月のグルメガイドは“ナポリ”「総合解説」2018年5/6月号p.32
は、訳しながら、ナポリ人の食へのこだわりに頭が下がる思いでした。
冒頭の写真の少年は、ナポリの人気キャラクター、プルチネッラが手づかみでパスタを食べる有名なポーズを真似しています。

実写版プルチネッツラとスパゲッティ

ちなみにスパゲッティを手づかみで食べさせたら、イタリアの国民的喜劇俳優トトの演技が絶品。『Miseria e nobiltà』のワンシーンはもはや伝説。

パスタを食べるシーンが語り継がれているもう一つの映画、『Un americano a Roma』

数十年ほど前までは、パスタはこれほど庶民の、というか貧しい庶民の食べ物でした。

パスタの地位が向上したのは、小麦の品種や製造方法にこだわった造り手が現れ、パスタの品質を向上させていき、その味を最大限に味わえる料理を考え出してきた料理人の工夫の結果です。
現在は、パスタ・プライドと呼ばれる時代。


上のパスタはトトの好物だった1品です。
トトの娘のリリアナが料理書に書き残して広まりました。
ジェンナーロはナポリの守護聖人のこと。

ナポリ人に熱烈に信仰されている聖ジェンナーロ。

ジェンナーロ風スパゲッティSpaghetti alla Gennaro
材料/1人分
太いスパゲッティ・・100g
アンチョビ・・3枚
にんにく・・2かけ
オレガノ・・少々
バジリコ・・1房
固くなったパン・・3枚
EVオリーブオイル、塩

・パンににんにくをこすりつけて刻む。
・油とにんにく1かけを熱してパンを炒める。
・別のソテーパンに油とアンチョビを熱して溶かし、オレガノを加える。
・ゆで上がったスパゲッティとパン粉を加えてなじませる。
・皿に盛り付けてちぎったバジリコを加える。

シンプルで素朴なパスタ。
天才のことを思い出しながらどうぞ。
-------------------------------------------------------
「総合解説」
 [creapasso.comへ戻る]
 =====================================

2020年5月10日日曜日

マックを閉店に追い込んだアルタムーラのパン屋

パーネ・ディ・マテーラの次はパーネ・ディ・アルタムーラの話。
パーネ・ディ・アルタムーラ
「総合解説」2005年4月号で、このパンの記事を訳していました。

マテーラに行くためにバーリから載った電車では、マテーラとアルタムーラはすぐ隣だった記憶が。
産地も近いし、巨大で皮が厚いという特徴もそっくりのパンです。
ほぼ同じ産地の小麦と天然酵母で作るパンで、
元々は、日持ちするために羊飼いが移牧の旅に持って行くパンでした。
同じ目的のサルデーニャのパーネ・カラザウとはまったく違うパンですね。
さらに、数十年前までは、家庭で生地をこねて、週に1回、村の共同かまどで焼くために家長のイニシャルを刻印するというのもパーネ・ディ・マテーラと同じ。

パーネ・ディ・マテーラが三位一体を表す形なのに対して、パーネ・ディ・アルタムーラは司祭の帽子の形。

この記事を訳した2005年頃、アルタムーラでは、ちょっとした事件がおきていました。
2年前にマクドナルドができたのです。
ところが、イタリアはアンチ・マクドナルド勢力が強い国、ということを証明する結果となってしまいました。
マクドナルドができると近所の昔ながらのパン屋が、客を奪われて潰れるというのが相場。ところがアルタムーラでは、昔ながらのパン屋に客が奪われて、閉店したのはマクドナルドの方でした。
マクドナルドは、誕生日パーティーや、衛星テレビでのサッカーの試合の中継など、あらゆる方法で客を引き留めようとしました。
ところが、アルタムーラの若者たちは、マクドナルドで試合を見て、そのあとでパン屋に行ってパンを買う、という有様だったそうです。

アルタムーラ

アメリカではショックだったようで話題になりました。

南イタリアの人も、かなりスカッとした様子。
パーネ・ディ・アルタムーラはヨーロッパで最初にDOP製品に認定されたパン。
手間暇かけて作る、スローな食材。
生地をこね機で20分こね、室温で最低90分発酵させ、手作業で整形して休ませ、かまどの扉を閉じて15分焼き、さらに扉を開けて45分焼く。仕上げに扉を開けて蒸気を出して皮をパリッとさせる。焼く温度は皮の状態によって変えるので一定ではない。
バイトには作れないパン。
かまどは酵母から発生する炭酸ガスを抜くために中央部分の高さが1m80cm必要。
焼き上がったパンは薪の香ばしい香り。この香ばしさがパーネ・ディ・アルタムーラの特徴。


分こね、



-------------------------------------------------------
「総合解説」
 [creapasso.comへ戻る]
 =====================================

2020年5月9日土曜日

バジリカータではパンは何も無駄にしません。落ちても拾ってキスして食べます

今日のお題は「総合解説」2018年5/6月号P.30から
メイド・イン・イタリーの食材、“パーネ・ディ・マテーラ”です。

見たこともない形をしたこの大きなパンは、それまで知っていたどんなパンにも似ていなくて、どんな味なんだろう、と空想がどんどん膨らみ、初めて知った時から、世界遺産の街のことよりもパンが気になっていました。
あの味は、口では説明しにくいので、とにかく一度食べてみてほしいパンです。
私は、このパンや、パーネ・プリエーゼの存在を知って、南イタリアのパンはおいしい!!という結論に達しました。

「総合解説」では、ごつごつした穴だらけのマテーラのイメージとそっくりのパンと、実にうまいこと言ってます。

パーネ・ディ・マテーラ

マテーラ

このパンの特徴については、さらに、
南イタリア特有の強い味で、真っ白な皮のパンが好きな北部人には焦げたようにも思えるほど黒く、厚みも3mm以上と厚い、
と、北部のパンとはぜんぜん違うことを軽く自慢しているような口調。

このパンは村の共同かまどで焼くので、自分の家のパンを区別するために目印に各家庭の家長のイニシャルを生地に押してから焼くのが特徴。
このイニシャルは、マテーラ名物のお土産にもなっています。

マテーラは、古い街なのに、至るところに若者が移り住んできて、自分の仕事場や住居を改修していて、活気のある若い職人の街みたいです。
上の動画でマテーラのパンを紹介した人は、マテーラにUターンしてガイドをする傍ら、趣味でイニシャル用のスタンプを作成していて、紹介したパン作り教室でパンに押す家名のスタンプも自作できると、しっかりアピールしてます。
これは楽しそう。

このパンの味を生み出しているのは、マテーラで古代から栽培されていた小麦(カペッリ種など)とフルーツを加える天然酵母。

パーネ・ディ・マテーラの型は、コルネット型と呼ばれます。
これはマテーラの形で、他の地方で作られるパンの形は丸く、味も軽く違います。

パーネ・ディ・マテーラ(コルネット・ディ・マテーラcornetto di Matera)
の形は父と子と精霊というキリスト教の三位一体の教えを表している。パンの縁に入れる3本のクープもこれを表している。

材料/
セモリナ粉・・650g
水・・450ml
2回セモリナ粉を継ぎ足した天然酵母・・180g
塩・・12g

・粉と水を混ぜて2時間休ませて2倍に膨らんだら、天然酵母、塩、水を加えてこねる。
・ボールの中でこねて、30分毎に3回たたみながら休ませる。ボールで1回折り込んだら打ち粉をした台で1回折り込む。
・ボールに入れて冷蔵庫で2時間休ませる。
・さらに一晩休ませる。翌朝冷蔵庫から出して室温に3時間置き、コルネット型にする。
・水を入れた鍋と一緒に250℃のオーブンで15分、200℃30分、180℃で15分、150℃のコンベクションオーブンで微風で15分焼く。
・最後の15分は鍋を外して乾かす。
・立てて4、5時間冷ます。
・スライスした時の独特の形がこのパンのアイデンティティー。

マテーラはバジリカータの街。
話題になることは少ないけど、素晴らしいところです。

パンにまつわる名言集
パンが落ちても拾ってキスして食べます。

世界中には大勢の飢えた人がいる。だから神はパンの形になってしか、彼らの前にあわられることが出来ない。マハトマ・ガンジー


-------------------------------------------------------
「総合解説」
 [creapasso.comへ戻る]
 =====================================

2020年5月8日金曜日

ナポリのグランシェフのズッキーニのフリットのパスタ

さて、ズッキーニのスパゲッティです。
ナポリ料理研究の第一人者として知られるジャーナリストのピニャタロさんは、多数ある著書の一冊、『リチェッテ・ディ・ナポリ』には、こう書いています。

ネラノ風ズッキーニのスパゲッティ/Spaghetti con le zucchine alla Nerano

料理の副題には、トニーノ・メリーノのアドバイスによる、と書かれている。
トニーノ・メリーノはネラノ出身で、ネラノのクアトロ・パッシというレストランのシェフで、ナポリを代表するグラン・シェフの一人。
招かれて日本で仕事をしていたこともある人。

ネラノのクアトロ・パッシ



・・・それではどうぞ。
この料理には主役のズッキーニがもたらす2つのリスクがある。
1つはパスタから流れ出たデンプンによって甘さが強まること。
この問題を解決するのは、バジリコとにんにく、そしてプロボローネ・デル・モナコだ。
ヤギのカードで固めたチーズなので適度な辛さがある。手に入らなければ上質の牛乳のカチョカヴァッロを使う。

2つめは、揚げることによってズッキーニがくたっとなり、黒ずんだ離乳食のようになることだ。
この失敗はスカペーチェなどのナポリ料理によく見かけるが、簡単な方法で回避できる。
まず、ズッキーニは、均一に素早く揚げるために薄い輪切りにする。
これをたっぷりのEVオリーブオイルで揚げて油を切り、さらにマンテカトゥーラの前に熱湯にさっとくぐらせるのがメリーニの裏技だ。
これによりズッキーニは失った水分を回復する。
ズッキーニにチーズをかけすぎるのも間違いだ。

材料/4人分
スパゲッティ・・400g
小型のズッキーニ・・700g
EVオリーブオイル
にんにく
粗くおろしたプロボローネ・デル・モナコ・・200g
手でちぎったバジリコ・・4~5枚
黒こしょう、塩

・ズッキーニは薄い輪切りにしてEVオリーブオイルで揚げ、シートで油を切る。
・その間にパスタをゆでる。
・にんにく2かけを油大さじ6で焦がさないようにソッフリットにし、火から下ろす。
・このタイミングでズッキーニの1/3を熱湯にさっと浸して歯ごたえの違う2タイプのズッキーニにする。塩をして油を回しかける。
・ソテーパンからにんにくを取り除き、ズッキーニを加えてとろ火にかける。
・アルデンテにゆでたパスタを加えてさっとマンテカーレする。
・火から下ろしてプロボローネ・デル・モナコを加え、パスタに吸わせる。
・皿に盛り付けてこしょう少々とバジリコを散らす。

※バリエーションは多数ある。その一つがバターを加えてマンテカーレすること。
邪道のようにも思えるが、モンティ・ラッターリ地方は乳製品の生産が盛んな地域なのでバターを加えるのは一般的なこと。太いショートパスタだと食堂のパスタになってしまう。卵を加えるとカルボナーラ風になる。
ネラノのマリア・グラツィアが考え出した料理だが、カプリ出身という説もある。

この料理が有名になるにつれ、どうやらナポリの人には揚げたズッキーニのパスタにはプロボローネ・デル・モナコというのがDNAに刻まれたようです。

プロボローネ・デル・モナコ


-------------------------------------------------------
「総合解説」
『リチェッテ・ディ・ナポリ』
 [creapasso.comへ戻る]
 =====================================

2020年5月7日木曜日

ソレント半島の小さなパラダイスで生まれた代表的ナポリ料理、ネラノ風ズッキーニのパスタ

初夏のマーレ・エ・モンティな料理の一例として、今月の「総合解説」ではズッキーニのフリットとアサリのパスタを取り上げました。

ズッキーニのパスタというと、ネラノ風というのが有名です。
ネラノ風スパゲッティ

ネラノはソレント半島の美しい海辺の村。


料理の背景については、下の動画の主が詳細に説明しています。
キッチンが素敵すぎる!!

ネラノ風スパゲッティ

ネラノの隠れた小さなリゾート、マリーナ・デル・カントーネ。

今ではカンパーニアを代表する1品になったズッキーニのパスタは、ネラノの入り江にあったリストランテ・マリア・グラツィアによって
シンプルなズッキーニのパスタをリッチな1品にするために考え出されたと伝えられています。

現在もあるマリア・グラティアのwebページはこちら。

この料理に欠かせないチーズ、プロボローネ・デル・モナコ

モンティ・ラッターリ地区の特産品で、各家では毎日早朝に、チーズをナポリまで売りに出かけました。

モンティ・ラッターリ



早朝は寒かったので、みんな白くて長いマントを着ていました。
その様子が修道士(モナコ)の用に見えので、チーズにこんな名前がついたのだそうです。
プロボローネ・デル・モナコが手に入らない時は上質のカチョカヴァッロ・セミスタジョナートで代用します。

それでは動画のリチェッタです。
材料/
スパゲッティ・キタッラ・・400g
プロボローネ・デル・モナコ・・200g
小型のズッキーニ・・800g
EVオリーブオイル
こしょう、粗塩
バジリコ
にんにく・・1かけ

・ズッキーニを薄い輪切りにして150~160℃の油で揚げる。
・色が付きだしたらシートに取って油を切りながらちぎったバジリコを散らす。
・パスタをゆでる。
・フライパンに油と潰した皮つきにんにくを熱し、油ににんにくの香りがついたらとろ火にしてズッキーニ、レードル1杯のパスタのゆで汁を加える。
・にんにくを取り除いてゆで汁を足し、こしょうをかけてなじませる。
・ゆで上がる4分前のパスタとゆで汁を加えてなじませる。
・ゆで上がる1分前におろしたプロボローネの一部とゆで汁少々を加えてマンテカーレする。
・プロポローネは一度に全部ではなく少しずつ加えてとろ火で適度なクリーム状にする。
・仕上げにこしょうとフレッシュのバジリコを散らす。

ソースのとろみが濃くてあんかけみたいなパスタですね。

次回は、ナポリ料理の大家、ルチアーノ・ピニャタロの本、“リチェッテ・ディ・ナポリ”のリチェッタを訳してみます。



-------------------------------------------------------
「総合解説」
“リチェッテ・ディ・ナポリ”
 [creapasso.comへ戻る] =====================================

柑橘果実と魚がベースのプリーモに合わせるワイン。

サーモンをベルガモットでマリネしてリゾットの具にした料理。 主役はベルガモットと言う柑橘果実。 カラブリアのベルガモット カラブリアのベルガモットは香水に使われている場合90%を占めているほど香水界隈では超有名。果実はなかなか美味しそうだけど、食用や飲用にはならない、つまり食べら...