2025年10月1日水曜日

ミラノの肉料理。豚肉料理の代表はカッスーラ。ミラノで豚に匹敵する価値があったのはガチョウ。


『クチーナ・イタリアーナ』誌のミラノ料理の記事は、イタリア近代文学の代表的作家、ミラノ人のマンゾーニをキーワードに、裕福な市民階級が台頭してきた時代のミラノの家庭料理を伝える、とても深い記事でした。今日の料理は、鴨料理です。(CIR5月号のリチェッタの日本語訳はP.46)。料理の解説には、こうあります。
「マンゾーニは若いころからコモ湖岸で漁を行っていた。野ウサギや雉、ノロジカ、カモシカ、猪、鹿などのジビエも獲れた。」
さすがは裕福な市民層。リッチな暮らしぶりを微妙にアピールしてしてくるところがちょっとしゃくですが、ここでお勧めのミラノ料理の本、

『クチーナ・ミラネ―ゼ』の話。

表紙はセクシーな女性の『ナポリ』とは大分違って、グレーのデニムというカッコいいエプロンをつけたシェフの姿。どちらも共通点は顔が写ってないことですが、彼はチェーザレ・バッティスティ。ミラノ生まれの現役シェフです。ミラノやロンバルディアの伝統をよく知るシェフの一人として知られています。本の中に彼の姿はたっぷり登場しています。

チェーザレ・バッティスタのカッスーラ。


子牛肉が主役のミラノ料理でも、豚肉はケルト人によって伝えられて豚肉料理は昔からありました。そのシンボル的な料理がカッスーラです。ミラノやロンバルディアを代表する料理でもあります。豚のあまり上等でない部位とサボイキャベツから作る冬の料理。伝統的には11月11日のサン・マルティーノの日以降に作ります。この日は農民が畑仕事を休憩する日となっています。さらにぶどうの収穫を終了する日でもあり、豚をしめる日でもあり、サヴォイキャベツが霜に当たり始める日でもあります。

ミラノの肉料理はもちろん牛肉料理もあり、トリッパもあります。

コモ湖のカモ猟。

(CIR5月号)で紹介しているのは鴨にコモ湖産の蜂蜜を塗りながら焼く1品。マンゾーニ風、と言えるかも。

さて、写真が素晴らしいこの地方料理シリーズで、異色のミラノはイラストがふんだんに使われています。鴨のイラストもありますが、鳥類も2ページに渡って描かれいます。鶏、鴨、雉、うずら、七面鳥、ホロホロ鳥、鳩、ガチョウと、個性的なイラストで、豊富な鳥が描かれていて、なぜかどれもとても愛嬌抜群。
ミラノのガチョウ料理として紹介されているのは“ガチョウのカッスーラ”。カッスーラと言えば豚肉の料理でが、おそらく、ガチョウのカッスーラのほうが豚肉より先にだと言っています。なんでもミラノがフランスに占領された期間に伝わったのだそうです。ガチョウは豚に匹敵する家禽と考えられていました。ガチョウのカッスーラは皮や脂肪を取り除い煮るので豚のカッスーラより軽く、でも味は似ているんだそうです。
これはかまどにかけて時間をかけてコトコト煮る料理。あまり都会的ではないかも。
さて、次回はミラノの魚料理の話です。

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new『スッド・グランデ・クチーナ(南伊・山・海)』

【地方料理、シリーズ】

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ミラノの肉料理。豚肉料理の代表はカッスーラ。ミラノで豚に匹敵する価値があったのはガチョウ。

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