2024年5月30日木曜日

米軍の兵士がエジプトの遺跡からモンタナに持って帰っちゃた古代小麦、カムットは、今や最新の古代小麦と呼ばれてすっかりモンタナに根付きました。

イタリアの大統領官邸の料理、(CIR2月号、P.14)の解説です。
オバマ大統領夫妻に出されたブリーモ・ピアット、“カムット小麦のトンナレッリ、ラグー・ビアンコがけ”(リチェッタはP.15)、まずはカムット小麦について説明しましたが、なんとこのエジプトからきた古代小麦は、カナダとアメリカのモンタナ州とノースダコタ州のみで、すべて有機栽培で作られています。これらの土地は、土壌に抗酸化作用があるセレンを豊富に含むのが特徴です。さらになん世紀もの間知られずにいたために遺伝子に人の手が加えられていないのも特徴。最新の古代小麦なんて言われます。
カムットの炭水化物はゆっくり燃焼するので運動前にアスリートが摂るエネルギー源としても有効と、アメリカ人が好きそうな要素がたくさん。

熱狂的なファンがいます。


オバマ大統領夫妻も、料理を食べた後、シェフに挨拶をしたいと、予定になく突然厨房を訪れたそうです。
今日は、この粉で作ったパスタ、トンナレッリについて。
トンナレッリは、別名キタッラです。

キタッラはギターという意味だと言うことはよくご存じだと思いますが、実は、楽器ではなく、パスタ・フレスカをカットする道具としてのキタッラは、1860年に発明されました。
なので、それ以前は別の名前で普及していたのです。
そもそもキタッラは、アブルッツォからイタリア中~南部に普及した硬質小麦粉と卵の断面が四角いパスタ。昔のものは鉛筆ぐらいの太さがありましたが、厚さはだいたい2~3㎜。タリオリーニぐらいのパスタです。表面がざらざらしたキタッラにかけるソースの定番は、肉がベースのラグーです。特にアブルッツォの山の放牧地の草を食べた去勢羊、castratoのもも肉のラグー。一般的な牛肉や豚肉のラグーではなく、アブルッツォの名物です。

カストラートのラグー

カボチャとサルシッチャのラグーのガルガネッリ

ラグーはイタリア料理のアイコン。ほぼすべての州に個性的なラグーがあります。中でも有名なのはアッラ・ボロニェーゼとナポレターノ。ボロニェーゼは挽肉、ナポレターノは塊肉を煮込んで作ります。
ラグーをかけるパスタは、中部では手打ちのタリアテッレ、ベシャメルでボリュームを出したラザーニャ、グラミーニャ、ガルガネッリなどです。ちなみにナポリでは細くて長い麺にラグーをかけるのは冒涜とみなされます。
さて、今回の料理はラグー・ビアンコでした。
名前の通り、トマトが入らない白いラグー。
ラグーは他に、魚のラグー、うさぎ肉のラグー(ウンブリア)など、たくさんあります。

子羊肉のラグー・ビアンコ

つまり、カムット小麦のラグー・ビアンコのトンナネッリは、アメリカの食材とイタリアの地方料理とを組み合わせた1品なのでした。
ただし、客がイスラム教徒の場合は、肉料理は詰め物やソースのないものを出すそうです。
1993年に日本から天皇が訪れた時には、日の丸のようなラズベリーのジェラートのヴァシュランを出しています。

ヴァシュラン・ミカドだって。こんなデザートがあるなんて、知らなかった・・・。

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(CIR)は『クチーナ・イタリアーナ』と『サーレ・エ・ペペ』という2冊のイタリア料理の月刊誌のリチェッタと記事を日本語に翻訳した約50ページの小冊子です。
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