トマトソースを見てきましたが、今日は、トマトによって変わったイタリアを代表するソースの話です。
“ラグーragù”です。
そもそも、ラグーragoütは、挽肉など細かく刻んだ肉をスーゴで煮込んだパスタソースを意味するフランス語ですが、イタリアの地方料理的にはラグーは南イタリアの料理です。
イタリアのラグーには、挽肉や刻んだ肉の煮込みと、塊肉の煮込みの2種類があります。
前者のことをイタリアでは主にスペッツァティーノspezzatinoと呼びます。
煮込みを意味するストゥファートstufatoは、堅い肉を食べやすくするための調理方法。
挽肉や香味野菜の煮込みがラグーと呼ばれるようになって広まったのは、ストゥファートにトマトが加わったからという説があります。
子牛肉のスペッツァティーノ。
煮汁をルーでつなげは加えればシチューですね。
トマトでつなげばラグー。
南ではラグーは豚肉とオリーブオイルが主流で、バターとパンチェッタ、ラルド、子牛、鶏、サルシッチャなど地方によってバリエーションは様々。
イタリアを代表するラグーはボロニェーゼとナポレターノ(または南部風)の2つ。
ちなみに中部イタリアではラグーは手打ちのタリアテッレにかけるのが一般的。
ナポリでは、細くて長い麺にラグーをかけるのは冒涜と考えられています。
マッケローニ、ペンネ、折ってゆでるジーティのような太くて短いセモリナ粉の乾麺にかけます。
シチリアでは太くて硬いパスタにラグーをかけます。
挽肉のラグー。
ナポリのラグーは、別名門番のラグー。
この料理は10~12時間かけて作るので、ナポリでは大抵は土曜に作り始めて日曜に出来上がります。
コトコト煮ることをナポリではピッピアーレと言います。鍋のソースを煮込む音のことです。
ナポリ人には、それぞれに譲れない煮込む流儀があって、最高のナポリ風ラグーを作ることができるのは、ピッピアーレの音を確認しながら鍋を常時見張っていることができる門番だと言われています。
次回はイタリア各地のラグーです。
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